コア入りコイル

長年、空芯コイルだけを愛用してきました。勿論沢山のコア入りコイルも実験して来たのですが、其のどれもが磁気歪を感じる、付帯音の多い音でしたので仕方が有りません。

此処で困った問題が・・・・・・。

500Hzクロス辺りまでなら良いのですが、それ以下でのクロスと成りますと、かなりの容量のコイルが必要に成ります。

自分で使っているオイロダインにもミッドバスを入れる計画が有ります。ミッドバスとのクロスは300Hz前後。

こう成ると空芯コイルには荷が重いクロスなのです。

コアを入れれば一挙解決なのですが、今迄の経験から、腰が持ち上がりません。

散々考えました。今まで使ったコア入りコイルは全て市販品。最上級のコアを使っているとは思えません。

兎に角磁気歪が耳につく。磁気歪の少ない材料は・・・・・・・・・?

其処で目をつけたのが此れです。

 

純鉄丸棒。

一般に市販されている鉄は炭素鋼と言って、ほんの僅かに炭素を混入し、機械強度を上げています。

純鉄と言うのは意外なほど柔らかい物です。結果殆ど使用されません。また鉄其の物も、他の分子と結合し易く、純鉄の製造は難しいものなのです。

で、この様に難しい素材の純鉄。とりえはひとつ、磁気歪が非常に少ないのです。実際に純鉄の使われる場所は磁気材料としての使用が殆ど。

つまり、僕の使い方に一番適している材料なのです。

ちなみに、昔は純鉄を作るのは非常に難しく、純銀と同じ値段がしていました。

流石に最近はそんな事は無いですが、高価な事には変わりは有りません。更に問題は発注して発生。

滅多に売れない純鉄。切り売り不可。

つまり定尺で無いと売ってくれないのです。

定尺の寸法、3,5m・・・・・・。

実験には10cmも有れば足りるのに。失敗したら、残った純鉄の丸棒は、女房との夫婦喧嘩の時の武器かな?

巻き上がった純鉄コア入りコイル。

空芯に対して同じ巻き数で1,7倍くらいのインダクタンスが稼げます。

試聴したら・・・・・・・・・。

コア独特の付帯音が有りません。

500クロスでの実験でしたので、同じインダクタンスで線の長さが短い。結果ロスが減り低域が明快に。

全て、音の面では成功。

そう、音の面では・・・・・・・・。

コア入りコイルは周波数でインダクタンスが変わります。其れも結構大幅に・・。

とても面倒ですが、クロス周波数を指定でのインダクタンスを求めなければいけなく成りました。

元々、オーダーでの製作ですから良いのですが、一般市販は無理なようです。

2010.6.22

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