一部の熱烈なファンに認められているEMT。写真はTMD-25の中身です。略新品。長い間お客様の処でストックされ寝ていました。

今回暫らくぶりに使いたい。と言って普通のアームでは使いたくない。僕の所のアームで使える様にして欲しい。との要望です。

元々、あのシェルは問題が多いので、僕も興味が有る。(一部のお客様は既に自分で改造して実践済み。)僕も一時EMTを愛用していた(当時は市販のアーム)時代も有りましたが、SPUにしたのはまずEMTの不良率の高さ。SPUの比では有りません。更に針交換は本国へ送り返し。其の為上がって来るまで3〜4ヶ月掛かるのは極当たり前。と言う事はもう一本スペアに持っていないと毎日は聞けない。僕の所の使い方では良くて5ヶ月。へたすりゃ3ヶ月チョットで針が減ってしまう。ナゼカEMTの針交換代は年々値上がり。

とても、ついて行けなくなりました。

馴染みのお客様でやはりEMTを愛用している方達から、何とかSPUでEMTを負かす事は出来ないか。との依頼も有って、今のアームの設計に着手したのを思い出します。当時の値段でも、EMTの針交換3回で、僕のアームが買えましたから(笑)。

EMT997+TSD15対SPU+僕のアームの対決です。

結果は、皆さん僕のアームを買っていただけたので、お判りですよね。僕も使っていた997を雑誌の売買欄で売ってしまいました(あの時は沢山の応募が有ってビックリ)。

で、僕のアームとEMTの組み合わせは、僕にとっては禁断の果実。さあどうなるんでしょう?

EMTを使う時の注意です。

カンチレバーがとても柔らかい。その結果、インサイドフォースキャンセラーの調整をキッチリ合わせないと、カンチレバーが横方向に弓なりに曲がってしまいます。

ダンパーが新品でもヘタっている物が多いです。レコード掛け始めは良いのですが、内周に近づくにつれ、段々カートリッジが下がって来ておなかを擦り始めます。此れはとても多いので要注意です。

カートリッジを止めているビスが鉄製なので、高域で歪み感が出易いです。アルミの2,5mmに替えれば解決します。

内部のリード線も良質とは言えません。

EMT信者でなければ純正アームはお勧めしません。他にはるかに良いアームが有ります。

必要の無い、頭のレンズは音に悪さをしますので外しましょう。指掛けを取るより、はるかに効果的です。

新品はラインコンタクト針がついて来ますが、針交換の時に丸針へ変更できます。ライン針は、高域のピークを押さえる為、シェル内部にコンデンサーを入れて誤魔化しています。結果、音に生気が無くなりEMTとは思えない音に成っています。丸針にしてコンデンサーを取ると本来のEMTの持ち味を味わえます。

EMTを味わうには、行わなければ成ら無い努力が多過ぎるのが難点です

EMTを使っているんだぞ。って、それだけで満足出来るのでしたら別ですが。

2007.2.26

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