写真の空芯コイル。どちらも0,3mH強。若干大きい方が値は多いが誤差範囲。何が違うのかと言うと巻き線径。1,6φと2,0φ。DCRは僕の持っている測定器では測定不能。

何に使っているのかと言うと、電源フィルター。兎に角電力会社が供給してくれている電源は、AC100V、50(関西では60)Hzと言う事しか保障はしていない。つまり波形はメチャクチャ。サインウェーブとはとても言えない代物。更にパルスノイズが乗っていて、ノイズに弱い電気機器には厳しい条件。オーディオ機器も其の例に洩れず、夜中の方が音がいい、とか土日や盆暮れ正月は音がいいなんて事が、平気で起きている。

波形の修正は難しいが、パルスノイズくらいは取り除いてやりたい。

でも、本当は電源条件に左右されない機器が正しい姿で、フィルターで音が変わるアンプと言うのは、まだ電源が不完全と思っているので、正直な所作りたくなかった。AC100Vで直接真空管は働いていない。電源トランスで電圧調整。その後整流回路で直流に。其の部分が完全なら入り口のAC電源の影響は電圧の影響を受けるだけで、ノイズや波形の影響を受ける筈が無い。でも、世の中そうは上手く行かない。どう頑張ってもAC電源の影響を受けてしまう。

負けん気の強いピンキー君としては、自分の作ったアンプが電源で音が変わるのは認めたくなかったのだが、現実は厳しい。正月にレコードを掛けたらいつもより良い。クッソーと一念発起して作ったのがメチャ凝った電源フィルター。電源SWもアンプ側で入れずに済むようにして取り合えず完成。

最初に作ったのが1,6φの巻き線でのコイル。当時は此れでもかなり良くなった。で、面白半分で作ったのが2,0φの巻き線でのコイル。替えてみるともう1,6φには戻れない。エネルギーが全然違う。機器の数が多いのでフィルターの数も半端ではない数を作った。で、その時最初に作ったメインフィルター。プレーヤー、ヘッドアンプ、プリアンプ、ドライブアンプ×2のフィルターは1,6φのまま。取り付け板まで作り直す様なのでメンドイ、無いよりは良いのだから、の何時もの怠け癖が出てきて作り直しは却下。

3年前の事です。

3年の間に、アンプはかなりの進歩。ノイズの多いアーレンブラットレイの抵抗の撤去。ブロックケミコンをチューブラに換え、更にフィルムコンへ。真空管の動作点も変わり、配線材も変わった。

特に、電源回路からケミコンを無くし、フィルムに変えた辺りから、外部ノイズに強いアンプに成って来た。と言うかAC電源に左右され難くなって来たと言うのが正しい言い方。以前はフューズを変えると音が変わったが、フィルムコンにすると変わらない。早い話、フューズを直結しても変わらない。

コリャー、電源フィルターはもう要らないかなとは、薄々感じてはいたのだが、メンドイ、の一言で外さずに其の侭使用。

で、今回弄った理由はハム音。電源フィルターの真上にヘッドアンプ本体が有るのです。内部の出力トランスは、殆どノンシールド状態。お客様に指摘された事は無いのだが、本人はかなり気にしていた。

ACを流しているコイル。しかも空芯。磁気が洩れっぱなしは誰でも気付く。こいつっぽいなー。とは思ってはいたのだが其の侭の状態で1年以上・・・・・・・。

取り合えず、コイルに電流を流さなくして、ハムが消えるかな?  重い腰を上げて昨日実験。

ハムは減りました。ヤハリ。もう一箇所(励磁電源)から漏洩磁束を貰っている事も判明。

ハムが減っただけなら、こんな事をアップはしないのだが、もう一点変わった。音楽の成り方。エネルギー感が全然違う。今までのは此れに比べたら上澄み液を飲まされていたに等しい。リアル感が段違い。そりゃー、電源のレギュレーションが良くなったのだから当たり前とも言えるが。

以前の実験でも1,6φと2,0φとの間にはこの様な違いが有ったのだが、フィルターが無い方が良いとは言えなかったので、1,6φのままで3年間使用。

つまり今の所の結論。電源回路にケミコンを使っていた頃は外部ノイズに弱く、レギュレーションに問題が有ってもフィルターを入れたほうが良い。電源回路をフィルムコンにした為、外部ノイズに強くなり、レギュレーションの問題が表面化した。

今回の変わり方。ネットワークの板を替えたよりも変わりました。

でも、まだ課題は残っています。完全にフィルター無しは音に若干の汚れを感じます。レギュレーションに問題の無い、ほんの小さなフィルター。

此処の処、禁酒をしていたのだが、昨日は思わず祝杯。  ア〜〜〜〜ア・・・。

2007.4.6

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