ヒーターチョーク。
今回の悪戯の中に、ヒーターチョークの採用があります。ご存知の様に、小信号を扱う真空管のヒーターは直流点火をしますね。
シリコンのブリッジダイオードで整流。その後リップルフィルターで出来る限り直流に近づけるのです。
そう近づけるであって、乾電池の様な完全な直流は無理と思って間違い有りません。
でも、出来るだけ近づけたい。そう成るとリップルフィルターを頑張るしか有りません。
と言っても、精々抵抗二段のリップルフィルター程度。
今迄のヘッドアンプがそうだったのです。
で・・・・・・。
上の回路が従来の物。下が今回の物。
上の回路ですとRは二つとも10Ω。Cは全て2000μを使っています。
入力電圧がAC15Vですので、ECC82二本に12,6Vを加えるのに丁度良い定数なのですね。
で、今回使ったチョーク。20mH。テスターでDCRを測りますと0,1Ω有るか無いか?まあ、テスターですので当てに出来ないですが、兎に角上の抵抗と比べますと、ものすごく小さい。
DCRが小さいと言う事は、電圧ロスが凄く少なく成るのです。
じゃあリップル分に対する抵抗は・・?
両波整流ですから、100Hzに対するリアクタンスです。
20mHの100Hzのリアクタンスは12,56Ω。抵抗でのフィルターよりも効果が大きいのです。
コンデンサーインプットのフィルターは整流直後のコンデンサー容量で、電圧が変わります。
チョークでの電圧ドロップが略ゼロですので、C1は小さくしないと成りません。
山勘で100μ。C2,3は1000μを選びました。コンデンサー容量は、ハムを発生しない範囲で小容量を使う、此れが僕の流儀ですので。
出来上がって電圧チェック。100μのチョイスは大正解。12,6Vジャスト。
此処で問題。抵抗をチョークに換えて再生音に何か効果が出るのか?
今回のヘッドアンプ。実験箇所が此処だけでは有りません。
今完成してレコードを聴いています。ヘッドアンプとしては大成功。只このチョークの所為かは判りません。
数日鳴らした後、一箇所ずつ元のヘッドアンプに戻して、実験箇所の確認です。
オット、一つだけ確実な点。C1を小さくした事で、シリコンダイオードへの負担は、かなり軽くなりました。
と言って、今迄トラブッタ事も無いのですが。
2011.8.29