MCカートリッジを使う時に、必用に成るのがMCトランスかヘッドアンプです。ヘッドアンプやトランスが内蔵のプリアンプも見受けられますが、所詮オマケ程度の物が多く、とりあえずMCカートリッジが使えます、本領は発揮できません。と取説に書いてもらいたい物の方が多いのが現状でしょう。

その辺に不満を持つと、単品のトランス、ヘッドアンプが必用に成りますが、百花繚乱。値段と性能(音質)との関係が丸っきりつながっていない、不思議な商品が出回っています。

写真は、僕にとって合格ラインを超えている、トランスです。同じメーカー製ですが、大きさの違う物が市販されています。(ケースはピンキーラボ製、笑。ケースで音が変わるので自作は注意が必要です。振動対策は十分に。)

一般にはコアの大きな物が喜ばれているようですが、本当にそんなに大型のコアが必要なのでしょうか?

MCカートリッジの出力を測った事が有りますか?(僕は実測をしています。)針をうっかりレーベルの上に落としても大した事は有りません。

磁性体(トランスのコア)にはヒステリシスカーブと言うのが有ります。早い話、信号レベルが、ある一定以上に成ら無いと、コアは磁化しないのです。テープデッキのヘッドにバイアスが必用なのもこの所為です。

つまり、コアが大き過ぎると、微小信号は二次側に出て来れないのです。結論を言いますと、カートリッジの最大出力でクリップしない範囲で小型のコア程、微小信号に反応する良いトランスなのです。(コアの大きさを自慢しているトランスで良質な物は見た事が有りません。単にセールストークです。)

写真のトランスも同じで、ケースに入っていない小型の方が、微妙な楽器のニュアンスが良く出ます。

メーカーは、大きな方をラージコアと表して発表。市場ではこちらの方が人気が有る様ですが、試聴して選んでいるのかは疑問です。でっかい事はいいことだ。なんて思っているんでしょうね。(笑)

トランスを選ぶ時には、インピーダンスの問題が有りますが、昇圧比1:20でハイ受けを選んでおけば間違いは有りません。(意味不明の方はBBSへ書き込んで下さい。)カートリッジのインピーダンスによってトランスを使い分けているのは、メーカーの販売戦略。良質なトランスなら1個でOKです。トランスの受けのインピーダンス(アンプの入力インピーダンス)の調整で殆どのカートリッジ(余程特殊な物でなければOK)がキッチリ使えます。

トランスによっては、若干のハムを引くものが見受けられますが(海外の有名トランスを使用して、手作りに近い物に多い)、内部を見るとアースの配線が出来ていません。1次と2次のアースを繋いでしまうなんて素人もいいところです。トランスの1次と2次は別回路の基本が判っていません。ピン端子がシャシから浮いていなかったら、間違い無くこの配線をしています。浮いていても安心は出来ません。内部の確認が必要です。アースの引き回しを間違えて、このトランスの音は○△×なんて言われてしまうと、トランスを作った人が可哀想ですよね。

MCトランスは良質な物を選べば一生物です。ある意味カートリッジよりも大事です。慎重に選びましょう。

2006.11.9

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