一番神経を使うのが、蓋の圧入(打ち込み)です。これに失敗しますと、今迄の苦労が全てパー。問題は、メタル軸受けのクリアランスがベアリングよりもシビアで、蓋を最後まで圧入してしまいますと、シャフトが廻らなく成る事です。つまりメーカー出荷時に、そんなに精度は出ていない(笑、ユルユルのベアリングの意味が判ります)。

まずモーターに配線します。只この時の電圧は50Vしか掛けません。定格の100Vを掛けてしまうと、軸受けが若干斜めに入っても廻ってしまうからです。低電圧、低トルクでも廻る位置(上下のメタルの直線が出た処)を探る為の方法です。

軽く蓋をし、電圧を掛けます(スライダックで調整)。モーターは上部の軸受けが殆ど入っていない状態ですから、難なく廻り出します。

この回転を確認しながら、蓋をハンマーで軽く叩きます。チョットでも斜めに入ると、モーターが廻らなく成ります。廻らなくなったら、最後に叩いた場所の反対付近(完全に反対位置とは限らない。)を叩き、軸受けを直線にしてやります。こうして文章にすると簡単な様ですが、無理して叩くとどちらに斜めか判らなくなり、修正不能。不良モーターを一個増やしてしまいます。

とにかく気長に軽くコツコツと叩くのです。イライラしている精神状態では絶対に出来ません。誰か人が入ってきたら絶対に無理。電話は留守電にセット、入り口にはカギを、店の中で音が出る物は全てストップ。全神経をシャフトの回転に集中します。二日酔いの脳味噌では絶対に出来ませんね(笑)。とにかくコツコツ、コツコツと叩くのです。

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