オンライフ U−22

僕が最後に愛用した市販のプリアンプです。

写真が無くて残念なんですが、このデザイン、何かに似ていません?

全体のサイズが違うので気付き難いですがマークレビンソンのLNP−2にそっくり。ツマミの配置とメーターの配置が同じデザインです。商品化はオンライフの方が早いですから、オンライフがマークのデザインの影響を受けた事は無い筈です。

中身は当たり前ですが丸っ切り違うアンプ。このアンプはこの仕事を本職にする以前に購入。色々と扱っている量販店(マークでもマッキンでも扱っていた)での5年間。散々色々なアンプを扱える立場でも家ではこのアンプを愛用。独立してからも、中古を漁ってお客様に渡していました。兎に角気に入っていたのです。U−22の後にオンライフから高級アンプも出ましたが、聞き比べるとU−22の敵では有りません。都合6年以上使っていた事に成ります。当時は色々な物が家を出たり入ったり。でもU―22だけは出ませんでした。代わりのアンプが見つからなかったとも言えます。

独立した当時、生産完了のアンプを店頭で使う訳には行かないと、当時まあ使えるだろうと選んだアンプでの音出し。数日で我慢が出来なくなって、自宅からU−22を持ってきたのを覚えています。

回路は何の変哲も無い83二段のNFイコライザー。82二段のトーンコントロールとフラット段。83のカソフォロ出力に成っています。半分余った83はメーターアンプに成っています。

此の侭でも十分に魅力的なアンプだったのですが、今日レベルでは残留ノイズが多いです。でも、取説にはS/N比は世界一と謳っていたのはご愛嬌。当時のレベルでも世界一は無かったですネ。

このトーン段がSNを悪くしていた元凶。オリジナルに拘らないピンキー君(当時はこうは呼ばれていない、笑)は早速改造。トーン段をバイパス。此れだけでぐっと良くなった。抵抗も1/2Wを当たり前に使っているので1Wの抵抗に替え様と秋葉原へお買い物。当時は今の秋葉とは段違い。硬派の街でした。店のおじちゃんも一言有る人ばかり。抵抗を買うにも何に使うか聞いてくる。で、U−22の改造に使うといったら、回路を聞かれた。するとオジサン『カソフォロを使うなんて素人だね。音を良くしたいなら、トーン段の82をパラッて単管として使い、其の侭出しな。』経験不足のピンキー君、言われる侭に指定の抵抗を買って帰宅。其の晩徹夜で改造作業。オジサンを信じるしかない。音が出たのは窓の外が少々明るくなった頃。出た音を聞いてオジサンに感謝。

晩年の伊藤喜多男氏と会った時も、カソフォロは音が悪いなー、って笑っていたけど、あの時のオジサン、喜多さんじゃないよね(汗)。

調子に乗って、其の数年後、電源を強化。と言っても内部には手をつけず、外部に別電源を新調。今の感覚ではまだまだの電源ですが、当時としてはやれるだけの事はやって、シャシは3mmの無垢の銅版。トランスにチョークにと乗せると、U―22本体より重かった。

当時の僕は、電源を強化すれば、ドッカーーンとダイナミックな音が出ると思っていた。で、愛聴盤をターンテーブルに乗せ、レコードに針を乗せる。静か、とにかく静か。暗闇から音楽が出てくる。ダイナミックな鳴り方とは正反対。一瞬拍子抜け。でも、良く聞いていると今まで聞こえなかった楽器の動きが良く判る。音の引き際がとにかく奇麗。後味の良い音と言えば良いのか。旨い食い物は食った瞬間には判らない物。ゴクッと飲み込んで、何を喰ったか判らない程、後味が残らなければかなりの物。残るのは旨かったーと言う思いだけ。電源を強化したアンプの鳴り方が此れに近い。

レコード再生で、フォルテッシモの再生で人を驚かすのは意外と簡単。ピアニッシモで消え入るような余韻は苦労しないと出てこない。

此れに、電源を作って気付いた。

未だにU−22を使っている方。アンプブロックの後ろのコネクターは接触不良が多いです。其処の所は作り替えがお勧め。NTT規格のコネクターと謳っていますが、当のNTTでも接触不良に悩まされたコネクターです(NTT社員に聞いた、笑)。

バランスボリュームはジャンプしましょう。表現力が丸っ切り違います。

未だに市販品のプリを使うとしたら迷わずU−22を使います。大切にして下さい。

2007.4.12

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