ホット側は半田付け。コールド側は反対側と同じく圧着。外皮を付けて完成です。

で、此処からが問題です。このケーブルをプリアンプとメインアンプの間に使うとします。さてどちら側がメインアンプ側でしょう?

両方試して、音の良かった方ですか?  ウーーーン、その様な考え方はオーディオの世界では通用しますが、産業機器の世界では通用しません。

電気的に正しいのは、メインアンプ側にシールドが接続してある方を使います。その方が音が悪くなったら、今回のグレードアップで他の悪い処が表面化して来た。と僕は疑います。

僕の知る限り、方向性の指定をしているピンケーブルを市販化したのは、エクスクルーシヴが最初(C3aやM4aの付属品でした)。30年近く前です。エクスクルーシヴは僕の逆を指定していました。

その後も、色々なメーカーがこの類いを出して来ましたが、正逆様々。僕も当時は悩みました。理論では僕のやり方に自信が有ります。でも著名なメーカー何社(僕の知る限り半数以上)もが逆を推奨。

何か理由が有るのか散々考えました。ある日親しい技術者が来店。彼は無線機の世界では超一流の会社で、技術部長まで勤めていた人。当時は独立して小さな会社を経営。

ピ『僕と逆をやっているメーカーは、何か理由が有るのですかねー?』

技『判ってないだけだよ。』

ピ『ヘッ・・・・・・・・・。』

技『そんなモノだよ。問題が表面化しなければ彼らは一向に構わない。特にオーディオの世界は、間違った事をやっても『其の音が好きだ。』と言えば通用しちゃう。無線でそんな事をやったら、他の技術者の笑い者だけれどね。』

ピ『・・・・・・・・・・・・・・・。』

その後、こんな事が有りました。

ある雑誌でケーブルの鳴き比べ。で、その内の1機種。ヤハリ方向性が指定されている。で、評論化の意見『良いケーブルだが、指定の逆接続の方が良い音がする。』

丁度そのケーブルを持っているお客様がいた。内部をバラして見たら僕の接続とは逆・・・・・・・・・。まあ、耳での評価など、あくまでもその場所での限定結果で、当てには出来ないと感じていますが、面白い評価記事でした。エッ、そのメーカーですか。とても1流のメーカーとだけ言って置きます。

オット書き忘れ。その時の技術屋さん、こんな事も言っていました。『民生機のメーカーは、基本的にキャッチフレーズが欲しい、方向性の有るケーブルなんて飛びつき易い。で、最初のメーカーが間違うとみんな間違えちゃうんだよね。』

 

 

基本的に方向性の有るケーブルを逆に繋いでも何も問題は出ません。機器も壊れません。単に技術屋の拘りです。お好きな音の出る方向でお使い下さい。

2007.5.17

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