僕のプリアンプ部のブロックダイアグラムです。カートリッジはSPUを使っていますので、其の出力に合わせて動作点を選んでいます。(SPUの出力は実測しました。)フォノ許容入力は、大きいほど良いと言われている方がいますが、決して大は小を兼ねません。許容入力が大きすぎるアンプは、小信号に弱くなってしまいます。どの様な素子でも、扱えるダイナミックレンジは決まっています。大信号を気にしすぎて小信号を見逃しては主客転倒。入ってきっこない信号に気を使って、入ってきている信号に無神経。では洒落にもなりません。

全段同じトランスで音質の統一を図るなんてもっての他。全段信号レベルは同じなのですか?そんな事は有りませんよね。適材適所。バランスが大切です。(ターンオーバーのロスを実測したら面白いですよ。)

ヘッドアンプも込みで書いて有りますが、ヘッドアンプは独立したアンプに成っています。まずV1で増幅。トランスで出しています。此処にコンデンサーを使った事も有るのですが、其のコンデンサーの音色が出てしまいトランスの使用に成ってしまいました。良質なトランスは、まだコンデンサーよりも変なキャラクターが少ないようです。(小信号の所ほどこの傾向が有ります。)

続いてV2,3,4に拠る3段でのイコライザーです。段間が二箇所ある為に、ロールオフとターンオーバーが分けて行なえるので、色々と好都合です。

その後VRをへてフラット段といたって平凡な回路です。真空管アンプとしては低インピーダンスの為、VRは100kΩが使えます。

この回路を使い出して20数年経ちましたが、これに替わる回路を思いつきません。と言うかこの回路に問題点を見出せないのです。(僕のレベルが其の程度なのかも・・。)

20数年で周りの装置は大きく変わりました。でもこの回路でギブアップしないのです。

そう言えば、伊藤喜多男氏と話した時に、氏が作ったAMチューナーの話になりました。氏はカソードフォロアーは音が悪いなー。と言いながら、でもこのチューナーカソフォロなんだよな。って笑っていました。其処で僕は『だって、先生。真空管はグリットに信号を入れて、プレートから出すように出来ているんですよ。』って言ったら、ウンウンって頷いていました。裸特性の優れている真空管は、変に弄らない方が良いアンプが出来ます。

きっと、死ぬまでこの回路なんでしょうね。

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