QUAD 405

このアンプも、僕が市販の完成品で最後に使ったアンプです。当時は此れでタンノイを鳴らしていました。プリはオンライフU-22。僕にとってこの組み合わせで聞くタンノイは一つの世界を作ってくれました。レコードを聞いて初めての音楽感動(オーディオ的感動とは別次元)を与えてくれたのもこの組み合わせです。

只、このアンプは同メーカーのプリを使うのが前提。この為に其の侭では使えません。他のプリを使う場合も同様です。

と言うのは入力がDIN規格。したがって入力感度は高過ぎ、入力インピーダンスは低過ぎ。オンライフにつなぐには難しいパワーアンプでした。

でも、初めてつないだ時の音は、そんな難しさはどうでもよくなり、何とか手なずけ様と興奮したものです。

まず入力ピン(今ならレモですネ)を付ける為に、勝ったばかりの405の裏蓋をドリルでゴリゴリ。其処にピンを取り付け。更に入力感度を落とし、インピーダンスを上げる為に固定抵抗を取り付け(後期の405にはVRが付きました)。抵抗値は合わせるプリによって違うのでカットアンドトライ。

この状態で数ヶ月。此処で出て来た不満が音像の奥行き感。其れ迄使っていたのがダイナコのMKV。モノのアンプに慣れた耳にはダメです。音色(音楽の表現力)は405の方が勝っている。品の良さでは圧勝。もっともMKVに品を求める人はいないと思いますが・・。

405の取説には入力、出力共、パラっても平気と書いて有ります。ウーーン。200Wモノラルアンプ。あの当時はパワーはある程度(片ch100W以上)は必要と思っていましたので、早速実行。

丁度、この時期、オーディオ店に入社。(入社前に買った405は高かった。もうチョイ待てば社員価格だったのに・・。)

自分の405を持って出社。店頭の展示品と僕のを使ってモノラル仕様405の完成。で、其の日のうちに社員価格でもう一台405をお買い上げ。給料の一か月分が吹っ飛んだ。入社最初の給料からこんなんだからその後はご想像どおり・・。

当時の僕の販売は店頭ではなく、お客様の自宅。タンノイを使っているユーザー宅へ店頭の405を持っていく。殆どの方がお買い上げ。で、新しいのが入荷するまで、店頭品は貸し出し。新しいのを持って行くと、店頭品とあわせて405がナゼか二台に(笑)。僕の使い方をお客様は知っている。試して見たくなるのは人情。で、もう一台お買い上げ。僕は其処の奥様の顔をまともに見られなくなって・・・・・・・・・(汗)。

楽しい日々でしたね。結局、セッティングで遅くなったりすると、其処の家で奥様の手料理で夕食をご馳走になったり。

不思議と405はアルテックを鳴らすのも得意でした。A-7の伸びやかな鳴りっぷりは其の侭に、一つ間違うと下品になってしまうアルテックの手綱をシッカリと引き締めました。

今現在の405は流石に長い時間が過ぎています。当時の音を出すのは難しいでしょうね。でも、愛情有るユーザーの方でしたら、せめて電源の大きなブロックコンデンサー二個、替えてあげてください。

2007.4.18

オット、書き忘れ、今現在使っているアンプがとても気に入っている。でも、それががもしもステレオアンプでしたら、もう一台買いましょう。半導体アンプでしたら、片chは使わずに、其々のアンプの片chだけ使ってのモノラルアンプ。好みの音色のままでグーンとグレードアップが計れますよ。

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