コアキシャル(10W)の限界を見極める。
コアキシャルを鳴らし始めて三ヶ月。勿論只鳴らしていた訳では有りません。
5ウェイのミッドバスに使用可能かどうか?
ミッドバスと呼ばれていますが、音楽の中心周波数を扱いますから、全ユニットの中で此処が一番大事なんです。ミッドバスを間違えてチョイスしたら全てパー、と思って間違い有りません。
10Wの一番の欠点はフレーム。鉄板で薄いのですね。
フレームの強度は非常に大事です。と言って破壊強度ではなく、微振動に対する強度ですから、その辺を良く考えないと無駄な強度を稼いでしまいます。
此処のHPを読んでいる方ならご存知でしょうが、僕のユニットのサポート方法はマグネットを支える事。
もう10年以上前からやって来ていますが、未だにこの考えは変わりません。
スピーカーの振動板の動きを考えたら、この方法しかないんですね。
チョット詳しく書いてみます。
スピーカーから音が聞こえるのは・・・・・?
ご存知、振動板が前後に動き、空気の粗密波(音波)を作り、其れが空気振動として人間の鼓膜を震わせ、音として認識します。
この振動板を動かすのがアンプから送られる電気エネルギー。つまりスピーカーは電気エネルギーを振動エネルギーに変える変換機なのですね。
で、良いスピーカーはこの電気エネルギー(電気信号)を忠実に空気振動(音波)に変える物と言う事は誰でも判ると思います。
此処には音の好み等が入る隙間は有りません。如何に正確に電気信号を空気振動に変えられるか。
空気に振動を与えているのが振動板。色々な方式が有りますが、一番圧倒的に多いのがコーン紙を振動させるコーン型。
本当に昔に考え出されたメカニズムなのに、未だ此れを覆すメカニズムが出来ないのが面白いです。それだけ最初から完成度の高いメカニズムだったのでしょうね。
図面を書こうかとも思ったのですが、此処を読まれている方なら基本メカは知っているかと・・(メンドかった、汗)。
基本構造は簡単でコイルを巻いたボビン。其の中心と外周にマグネット(実際はどちらか片方で反対側は磁性体)。
コイルに電気信号を流せばマグネットとの関係で、ボビンは前後に振動します。中学校で習ったフレミングの法則ですね。
ボビンだけの振動では空気を動かせないので、ボビンに振動板(コーン紙)を取り付けボビンと一緒に動かせば、空気を振動させられる。と言う、いたって原始的なメカニズムです。
でも、この単純なメカ、単純だからこそ長年作り続けられていると思うのですが・・・・・。
つまり、コーン紙はマグネットと引き合ったり反発したり(詳しくはチョイ違うのですが・・・)。
コーン紙が前に出る時・・。作用反作用って習いましたよね。
コーン紙に前へ出る力を加えられている時、まったく同じ量の力でマグネットは後ろへ押されます。
コーン紙が後ろへ下がる時は、マグネットは前への力を受けるんです。
要は、コーン紙を動かなくすれば、マグネットが前後に・・・・・・。
まあ、勿論マグネットはフレームで押さえられてはいますが・・・・。
さて、此処で問題です。
マグネットが僅かでもこの力で前後に動いたら、コーン紙の振動はマグネットの動いた分少なく成るのは判りますよね。
つまりコーン紙(振動板)はマグネットに対して動いている。
マグネットの位置をしっかり固定しないと、其の分コーン紙の振動量は少なく成る。
振動板の動きの基礎はマグネットの位置なのです。
いくらスピーカーユニットの外周部で押さえても、フレームの強度が無限で無ければマグネットは動いてしまいます。
実際に、音を出しているスピーカーのマグネット部分を触って見て下さい。結構前後に振動しているのが判る筈です。
そんな訳で・・・・・・。
こんな感じで、マグネット部分をがっちりとキャッチ。
でも、スピーカーの振動エネルギーは凄まじく、此れでもマグネットに触れると振動しています。
でも、この方式のもう一つのメリット。
スピーカーユニットを、バッフルに固定しなくて良く成るのです。
つまりバッフルの共振を少なく出来るんですね。
写真では位置決めの為に、バッフルとユニットの固定ネジが付いていますが、位置が決まったら外して、ユニットとバッフル間に僅かの隙間を開けます。ほんの僅かの隙間でしたらバッフル効果は薄れません。
コアキシャルの問題が此処で露呈。
前面のパネルをバッフルで押さえる事が出来なくなるので、パネルが鳴き易く成るのですね。
どう対処するかチョット考えています。
まあ、僕は最終的にはウーハーの10Wだけを使うので、問題はないのですが・・・。
2013.2.9
チョイ、追記。
マグネットをクランプしている丸棒。昔真鍮で試作を・・・。
完全にNG。うるさくてたまりません。
このマグネット押さえをカートリッジ側に応用したのが、僕の作っているSPUアダプターです。