シャシの重要性

長い経験を積んだ方ほど、シャシの重要性を理解しています。逆に言いますとシャシを見ただけで、そのアンプの出来具合が判ってしまう程です。

特に真空管を使用しますと、その重要性が増えてきます。真空管はご存知の様に振動に大変弱い素子です。プリの初段管を指で弾けばその音がスピーカーから聞こえるほどです。ヘッドアンプを作ったりしますと、何かの振動対策をしませんと、ハウリングに悩まされます。

管球アンプの製作記事を散見しますと、その辺の配慮が足りません。

全く同じ回路で、同じ部品。シャシ配置も同じ、配線の引き回しも同じ。この条件でシャシだけを振動対策済みの物で作ってみて下さい。あまりの再生音の違いに、今まで何をやっていたんだ。と驚くと思います。

それ程シャシは重要です。材質にも配慮が必要です。鉄板は磁気歪の点から避けたいですし、ステンは放熱の点から使いたく有りません。(ステンレスは熱伝導がスゴク悪いのです。)

私のアンプには、基本的に放熱口を開けません。何故かと言いますと、長期の使用を前提にしているからです。長期間使ったアンプの中を覗いて見てください。高圧回路の配線は一目瞭然ですよね。何故かと言いますと、埃を吸いつけ一番汚れているからです。全ての配線が絶縁被服を被っているのならいいのですが、真空管ソケットは端子が剥き出しです。此処に埃が溜まります、日本の高温多湿を考えますと・・・・・。

放熱口の無いアンプの内部は、何年使っても作ったばかりの清潔さを維持します。

では放熱口を開けないで内部の熱をどうやって逃がすのか。簡単です。シャシに放熱板として働いて貰うのです。アルミの厚めを使いますと、放熱効果は放熱口の有るシャシと比べて遜色有りません。

それと、真空管の間隔をキチット開ける事です。お互いに温め合っているアンプを見かけますが、耐久力の点で問題が有ります。

訳の判らない部品に途方も無いお金を掛けるのでしたら、普通のパーツを使い、シャシに贅沢をした方が、いい結果がでると思いますが。

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