定電圧駆動
独り言で定電圧駆動について書きましたら、意味不明と言われてしまいました。もっと噛み砕いて言ってくれ、と。
簡単に言うのは中々難しいのですが、出切るだけ簡単に書いてみたいと思います。
今此処にAと言うアンプが有ります。1V入力で800Wの出力を謳っています。でもカタログを良く見てください。其処にby8Ω(/8Ω)って書いて有りません?つまり8Ωのスピーカー(正しくは抵抗)を繋いだ時のデーターでそれ以外は知りません、と言う事なんですね。
殆どのアンプには、更に4オームの時の出力や2Ωの時の出力まで書いて有ります。(自慢げに)この時8Ωの出力に対して4Ωの方が大きいですよね。これが定電圧を目指しているアンプの証拠です。完全な定電圧アンプでしたら、8オームに対して4オームは倍の出力になっているはずです。(其れを自慢している高級アンプが多いですね。)評論家先生達もこれがアンプの理想です。なんて雑誌に書いちゃうから、理論が判っていない一般のマニアはフーンそうなんだ、って信じちゃう。
本当に定電圧アンプは理想なのか実証してみましょう。(これから先には計算式が出てきます。あ、俺には判らない、ナンテ思う必要は有りません。中学校で習ったオームの法則だけです。逆に言いますとオーディオの殆どはオームの法則だけで理解できます。)
Aアンプを検証しましょう。8Ωで800Wの出力です。電力(W)=電流(A)×電圧(V) 電圧=電流×抵抗(Ω) を思い出してください。これの式に判っている数値を当てはめると
800=V×A V=A×8 と言う事は(中学校で真面目にやっていて良かった)
800=A×8×A 800÷8=A×A 100=A×A A=10
800=10×V V=80
つまり1V入力に対して80Vの出力が出てくるアンプと言う事に成ります。
定電圧駆動と言う事はどの様な負荷に対しても80V出てくると言う事です。(だからSP端子をショートしちゃいけないんですね。)
じゃ、4Ωに当てはめて計算すると、80V一定ですから20Aの電流が流れます。20×80ですので1.600Wの出力です。これのどこがいけないのかですか。ご存知のように、スピーカーのインピーダンスは一定では有りません。公称8Ωのスピーカーで、高域でのインピーダンスが30Ωを超えるのなんて珍しくないです。
30Ωじゃ面倒ですので、20Ωで計算してみましょう。80Vですから4Aしか流れません。320Wの出力です。Wは仕事量の単位ですから、スピーカーの音響出力は略Wに比例します。つまり高域では同じ入力が入ってきても出力が出ない、つまり音が小さいと言う事になってしまいます。
簡単に言いますと、定電圧駆動のアンプは、スピーカーのインピーダンスカーブで、出力の周波数特性が変わってしまう宿命を負っているのです。
じゃあ、スピーカーのインピーダンスをフラットにすれば良いですって。スピーカーが現在の構造(マグネットとコイルとコーン紙)を使っている限り不可能です。イヤ、メーカー製には一部にフラットを謳っている製品が有るってですか。あれはネットワークで誤魔化しています。あくまでもアンプ側から見てフラットにしているだけで、ユニット単体でフラットを達成しているわけでは有りません。
定電圧駆動を謳っているアンプを見ますと、机の上での設計だなと思ってしまいます。
もうそろそろ、アンプの設計者達も、道路には穴が開いている、レコードは反っているって認めてもいい時期では有りませんか?
注)基本的にNFを掛けたアンプは定電圧駆動になってしまいます。
http://hayashilab.blog.shinobi.jp/Entry/1456/
此処に定電圧駆動アンプの実測実験が載っています。