切削の終わった、軸受けの部品全てです。左端は軸受け其の物、無垢の砲金の丸棒からの削出しです。内面は精密リーマで仕上げています。其れでも数年使い込んだ軸受けの内面の奇麗さには敵いません。オイル交換をきちっとすれば、一生(何代にも渡ってかも、笑)使える物です。其の右がシャフト、80φの丸棒(45C)から削りだした物です。一般のターンテーブルシャフトの下端は平らに成っていて、その下にボールを入れます。この方法ですとボールは止まっていて、シャフトとの間に摩擦が生じ、シャフト先端が磨耗します。このシャフト、1週間掛かりっ切りで5本しか作れないと言う、とても手数の掛かる物です。こんなパーツを消耗させる様な構造に設計をする様では、機械構造設計等と威張れません。
シャフトを削る時、同時に先端にテーパー状の穴を開け、ボールが先端に収まる様にしました。こうすればボールはシャフトと一緒に周りシャフトの先端は磨耗しません。
下の受けが磨耗しますが、単なるフランジ(平板)ですので製作は簡単。機械は必ず磨耗し、パーツの交換が必要に成ります。その時交換するパーツを、製作の簡単な物での交換で済む様にするのが、設計者の知恵です。
アイドラー時代は其の受けで十分でした。しかし糸ドライブにしてから様相が変わってきました。ワウフラの発生です。新品時は問題が無いのですが、長時間の使用で出て来ます。軸受けのフランジをルーペで拡大して見ますと、ボールの当たり面が単なる磨耗ではなく、かじっています。この為、摩擦にムラが出てワウフラの原因に成っていた様です。糸の場合駆動部分の接触面積が少なく、スリップを誘発していたのでしょう。
其の対策が右下の軸受けです。其の上に見えるボール(12,5mm)がシャフトの先端に嵌ります。軸受けの中を削り込んで内部にボール(10mm)を嵌め込みました。こうすると上のボールはシャフトと一緒に回転、下のボールは軸受けの中で止まっています。つまりボール同士の接触で軸受けをしているのです。こうするとお互いに曲面ですから接触面は極小。鋼球ですので硬度は高い、表面の面粗さも極小。摩擦抵抗の非常に少ない軸受けに成ります。しかし、良い事ばかりの様ですが、一つ問題点。(とても重要。)お互いのボールのセンターをどこまで合わせられるか・・・・・・。
チョットでも狂えばゴマすり運動を起こし、ボールの磨耗が始まります。どうするのですか?と何度も聞かれましたが、もうこれは加工する人間の腕以外有りません。
この軸受けにしてから1年経ちました。一切のメンテをせずに1年です。(店での使用ですから家庭とは時間が違います。)
ボールの磨耗はゼロ。ルーペで見ても接触痕が見えません。一体どこが当っていたんだー、の世界です。
万が一磨耗をしてもボールの交換だけで済みます。(1個数十円。)メンテの費用がとてもサイフに優しく成りました。もっともボールの向きを変えるだけで交換の必要は無いのですが(笑)。
上手くいった様です。フリクションの減った所為で、更に糸の寿命が伸びました。
2006.6.18