シーメンス、コアキシャルユニットを片ch3本使ったシステムにワイドアングルが有ります。僕もオイロダインを導入する迄は使っていました。さすがに3本の威力。スケール感はコアキシャル一発の比では有りません。暫らく満足して使っていましたが、ナンカ変?

スケール感は確かに有るのですが、全体に大味。コアキシャルの得意とする細かなニュアンスの表現が出て来ない。早い話が、大男、総身に知恵が廻らない。を地で行っています。

ナンデだろう?

原因は、思いつく物からドンドン対策をして行きました。バッフルを替えたり、フレーム(ワイドアングル用)を作り直したり・・・。其々効果が有りましたが、皆今一歩。

待てよ?3本のユニットはパラって有る。其れって良いのかなー?スピーカーはマイクと同じ構造。モーターと発電機の関係と同じ。

お互いにアンプからの信号で振動している。で、其の振動は隣のユニットのコーン紙を振動させる。すると隣のユニットは其の振動で発電してしまう。其の電気は・・・・・・・・・・・・・。

パラ接続ですから、其の電気は元のユニットに戻って来て、アンプからの信号と別な信号(隣のユニットの発電信号)で動作をしてしまう。

エーーーーーーーッ。まさかそんな・・・・・・・。

で、実験です。普通に音楽を聴いていて、同じ部屋の中に有る、スピーカーユニットの発電電圧ってどんな物なんだろう?

ワイドアングルをチョイ大き目の音量で鳴らしました。その時部屋の中にはマクソニックのDS405が有りました。(アルテック604−8Gと似ています。)

其のスピーカー端子からケーブルをミリバルまでひきました。

ミリバルの針の動きを見てビックリ。音量の大きい所では300〜500mVも振れるのです。ま、まさかー。何度もミリバルのセット具合を見直しましたが間違いは無し。表通りをバスが通過するとミリバルの針は又振れます。

此れだけの電圧が隣のユニットへ流れ込んで、悪さをするのです。

じゃあ、ひょっとして・・・・。3本のユニットのパラレルを外し、ユニット単独でアンプ迄配線。アンプの処で3本をパラッたら見違える様。

でも此れでは根本的な解決には成りません。

で、作りました。入力1系統。出力3系統のパワーアンプを。

入力信号は初段管へ入る。初段管の出力はトランスへ。トランス二次ホット側を3本に別け、3本のパワー管のグリッドへ。3本のパワー管は其々の出力トランスを経てスピーカーへ信号を送る。このアンプをモノラル構成でステレオ分作り早速の試聴。

此れがワイドアングルの実力なんですね。今迄の不満が完全に解決。

此れが出来て直ぐに伊藤喜多男氏の処へ行く用事が。

この話をしたら、先生一瞬悔しそうな顔を・・・・。パワー管は何を使ったかとか、電流はどれだけ流したとか色々聞かれました。先生、自分では人に聞かれると嫌がるくせに、と思いながらも、全部ネタをばらしてしまいました。先生の亡くなる3〜4ヶ月前の話です。

最後に。もし今ワイドアングルを使っているのでしたら、あのフレーム(数度ずつ首を振っているあのフレームです。)は誰かにあげちゃいましょう。同じサイズの単なるラワンベニヤで良いですから、普通の1枚板に交換しましょう。愛聴盤が増えますよ。

2006.9.11

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この経験が無ければ、今の装置(ネットワークによるマルチアンプ。)は無かったと思います。今に成って思うに、ワイドアングルにシッカリと勉強をさせてもらったのです。感謝。