ネットワークも作り直しました。オリジナルは空芯コイルと言いましても、コストダウンの為に、ドライバー用のコイルが貧弱です。更に空芯コイルを金属のシャシに取り付けているのですから、はっきり言って拙い設計です。
コンデンサーも当時としては良品を使用していますが、最新のコンデンサーと比べますと、性能ははるかに低いと言わざるを得ません。
この辺のパーツの進化は素晴らしく、当時の技術者が今のコンデンサーを見たら、嫉妬すると思います。
昔は出来たが、今はその技術が無く作れない。なんて知ったかぶりの発言をしている評論家がいますが、技術を理解していないのを自ら認めている。と、僕は理解しています。工業製品は工芸品と違います。製造を止めたのは売れない(儲からない)為で、作れる技術が無くなった訳では有りません。
今はコストダウンが至上命令ですから、良い物が少なくなって来ていますが、コストさえ気にしなければ、昔とは大違いの、とんでもない(高性能)部品を作ってしまえる技術を持っているのです。当時のコンデンサーを測ってみると、理想コンデンサーと言うには、程遠い物だと判るでしょう。そのコンデンサーを使って、理想コンデンサーを想定しての回路で、ネットワークを作っているのですから、結果は見えてきます。
現在のコンデンサーも理想コンとは言えませんが、少なくともオイロダインが現役の時よりは、遥かに優れています。で、なければ現在の技術者は、余程の無能者と言う事になってしまいます。
オイロダインのインピーダンスは15Ωと公表されていますが、あくまでもアンプ側から見た値であって、ウーハーのインピーダンスは5Ω前後です。クロスポイントでは6Ωを示すユニットが殆どです。ではナゼ公称15Ωなのでしょう?それはネットワークを観察すれば直ぐに理解できます。マッチングトランスが入っているのです。ナゼ入れたかは判断不能ですが、音質的には好ましく有りません。
以前、ある雑誌に、僕と同じオイロダインを持っている人の家に取材に行った記事が出ていました。試聴記で、レンジは狭いが穏やかな音で流石往年の名器と書いて有りました。オールオリジナルで、励磁電源もプアーでしたので、そのような評価がされたと思います。
過去にとらわれるのは各自の自由です。僕はとらわれないで、あくまでレコードに入っている音楽を余す所無く引き出したい。オイロダインのチョイスは其の目的の為で、それ以外の何物でも有りません。