パーツの選び方

これは僕の選び方です。趣味で作られている方は、あくまでも自分の好みで選んで良いと思います。

最初に考え方の違いですが、(仕事人と趣味人)僕の様な仕事をしていますと、よく人に聞かれる事が有ります。『趣味でアンプを作られている人のと、ピンキーさんの作られているアンプの違いは何ですか?』其の時の僕の答えはいつも決まって『趣味で作っている方のアンプは自分で楽しむ為の物です。僕のアンプは人様に渡してお金を貰うアンプです。』

人にお金を貰うアンプなんて、抽象的過ぎて首をかしげる人も居ます。でもこれはとても大事です。今しか入らないパーツ(限定品)等を作ってしまったら、今後のアフターに支障をきたします。音は良くなると判っていても、トラブルの出やすい回路を使うなどもっての外です。希少管など間違っても使えません。いくら寿命が長いといっても、お客様のミスで破損をしてしまう事まで考えねばなりません。

パーツの選定もこの考えを押し通しています。まず信頼度が高い事。これが第一です。次にアフターが完全に出来る事。(或る意味自作でも大切ではないでしょうか。気に入ったアンプが壊れた。同じ部品が手に入らない。代用品を使ったら以前の音が出なくなった。等)

では上記の条件を満足させるパーツ(何種類か)を手に入れ、アンプを作りました。どれを選んでもアンプとしてはキッチリ働く。此処まで来て始めて試聴です。でもその試聴が大変なのです。

まず、どの様なパーツにもエージング期間が有ります。即断は禁物です。不思議と良いパーツ程エージングで音が変わります。(データーを取っても何も変わらないんですけどね。)さて十分なエージング期間を掛けました。(物によっては一ヶ月近く掛かる場合も有りますので油断は禁物です。)

ウン、これなら前に選んだパーツより良い。(じゃ成功ですね。)物事この様に進めば太平なのですが・・・。チョット待ってください。本当に今度の方が良いですか。よく聞こえてはいるけれど、装置の欠点を上手くカバーして良く聞かせては居ませんか?つまりウソをつくのが上手いだけでは有りませんか。(此処まで考えるのです。)

ここで、短絡的にこのパーツを選んでしまいますと、次のグレードアップが非常に難しく成ります。つまり今回選んだパーツと装置の欠点の組み合わせが足かせとなって、先に進み辛い状態を生んでしまうのです。逆を言いますと、良いアンプを作る場合、信頼の置ける(欠点も熟知している)プレーヤーとスピーカーが必用なのです。

話題を変えます。

アンプを選ばないスピーカー、と言う誉め言葉が有ります。あんな重宝な言葉は有りません。ハッキリ言いますと、つまりアンプの違いが鳴き別けられない、鈍いスピーカーと僕は理解しています。その様なスピーカーで、名演奏と下手な演奏を鳴き別けられる筈が有りません。

この様なスピーカーでアンプの試聴は出来ません。(能率の低いスピーカーに多いようです。)

ですから、僕がパーツを選ぶ時は、自分の持っているスピーカーやプレーヤーの、欠点をあからさまに出してくれたパーツ(つまり音が悪くなっても)に軍配を上げます。そのアンプが有るから今度はスピーカー、プレーヤーのグレードアップが計れるのです。

アンプって装置全体から見れば、ホンの一部分です。其処だけのグレードアップで装置全体を、見違える様に変える事は、出来ません。全体のバランスがとても大事です。

車のエンジン、シャシ、足回り、タイヤの関係を考えれば、おのずと答えが出て来ると思いますが。

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