一般的なCDIのイグニッション回路です。アーシングをしたのは、イグニッションコイルのアースとプラグのアースを直接配線をした訳です。普通の考えならプラグのアースはシリンダーヘッドに繋がっているし、コイルのアースもフレームに繋がっています。どちらも金属としてはかなり大きい。直流抵抗を測っても殆どゼロの筈。其処にパラレルに配線をしたって関係無いんじゃない?

こう思われてましても、義務教育で習った電気の知識でしたら大正解です。でも、此処からがややこしくなるのです。プラグに流れる電流はパルスです。直流ではないのです。あらゆる周波数成分を含んだ交流と考えるのがベター。義務教育では交流理論は習いませんものね。工業高校の機械科でも習いませんでした。

単純に一本の金属でプラグとコイルが繋がれているのなら大丈夫なのですが、エンジンもフレームも兎に角ややこしい形状。つまり、プラグからコイルに戻ってくる電流の流れが、右往左往しているとの考えです。

更に追い討ちを掛けるのが一般電装品のアースもフレームをアース電位にしています。(でも最近のは良く成りました。ベタアースでフレームに電流を流すのはなく成っています。昔は平気で流していましたね。酷いのになるとベアリングに電流を流していました。)

電気の基本(特に交流の場合は)。一つの配線に二種類以上の電流を流さない。配線は太く短く。本当はプラグが電気的にヘッドから絶縁されるとベターなのですがチョット無理(だれかやりませんか?)。

で、フレームに流れる電流は無視して、バイパスを作ってやったのです。正直、最初に実験するまでは,こんなの効くかね?と疑心暗鬼。そりゃそうです。元々入っている電気配線がエンジンブロックとフレーム。電気抵抗はメチャ少ない。理論的には正しいけれど、乗った人間が判る程の差が出るかは自信が有りませんでした。

初めての実験はハタカブ。エンジンを始動した瞬間判りました。排気音が違う。太くなってトルクの有る排気音です。

つまり今回のST君は、柳の下の鰌です。このHPがなければいっぺんにコイルの交換をして下の回路にするのですが、それをやられると、見ていては面白くないかなと・・・・・(笑)。

注)図面のノーマル回路。ST君はCDIユニットとコイルの間のアースはフレームへのベタアースではなく、直接繋がっています。

2007.6.14

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