クラッチのレリーズ調整。

クラッチの切れは、シフトの感触に大きく影響します。切れが悪いとシフトが硬い、止まった状態でニュートラルにし難い、ローに入れる時にガシャンとショックを感じる、etc,etc・・・。

単に感触だけの問題なら、我慢すれば済むのですが、この状態で運転を続けるとシフト系に負担が掛かり、シフトフォークの曲がり、ドッククラッチの異常磨耗等良い事が有りません。

また、この辺を傷めた場合の修理は、エンジンを下ろし、クランクケースを割ると言う大掛かりにも成ります。

そう成らない様に、早めの調整で良い状態を長く維持したいのです。

 

此処2〜3ヶ月前から、シフトが渋い。エ〜〜〜〜?

レリーズ調整をしようとしても、見当たらない。

僕が昔から弄っていたバイクは、このレリーズ調整が外部から簡単に出来ました。

オイオイ、STってレリーズ調整が無いのかい?面倒成りとクラッチ周りのパーツ一式を購入。

その時にパーツリストを見ていて、此れってレリーズじゃないのかな?と言うパーツを発見。でも全部頼んじゃった(笑)。

パーツが入ってから、サービスマニュアルをチェック(遅い、汗)。やはりレリーズ。

レリーズというのはクラッチを切るパーツで、遊び調整が出来るのです。

なんとSTはクラッチの中心についていて、クランクケース右側を外さないと出来ません。昔は・・ブツブツブツ。

と言う事は、エンジンオイルが抜けた状態で無いと難しい。丁度STはオイル交換を済ませたばかり。次回の交換時だな。

と言う事で今日に成りました。

右クランクケースカバーを外す前に、キックシャフトと右ステップを外し、ブレーキペダルも邪魔しそうなので、後輪のブレーキ調整ナットを目いっぱい緩めます。こうするとペダルを下げる事が出来て、邪魔に成りません。

こう言う時の基本は、知恵の輪に成りそうな部品は全て外します。面倒がって外さないで作業するのは素人です。

で、写真。何か気付きました? 綺麗でしょう。クランクケース内に異物(特に砂利)を入れたく有りませんから、綺麗に掃除をしました。エンジン整備の第一歩です。特に、合わせ目周りは念入りに。僕は、パーツクリーナーを拭きつけ掃除。

ケース外周のボルトを外すのですが、最初から外さないで、2〜3回転緩めるだけにします。

全部緩んだら、ケースを引っ張ります。この時急にはがれても、ネジが残っていますので尻餅をつきません。勿論一番の目的は斜めに外さない為です。

手で引っ張っても外せない時は、どこかに手がかりの場所が有ります。其処をじっくりと攻撃。

僕の場合は、手で引っ張るだけで外れました。

カバーが外れた瞬間に、中に残っていたオイルが垂れますので、受け皿を用意。

35000km走ったクランクケース内部。へへ、オイル交換をマメにやって良かった。スラッジのスの字も有りません。組んだばかり見たい。

クラッチセンターに見えるのが、レリーズ調整ボルト。

カバー中心に、調整穴を開けてくれていれば・・・・・・。

此処まで開けたのですから、じっくりと中を観察。金属片は落ちてないか。変に光っている部分はないか・・。

カムチェーンの細さにはビックリ。ハタカブと変わり有りません。

さて、異常が見つからなかったらレリーズの調整です。

まず、ハンドル部のクラッチワイヤーの遊びを最大にします。

この中心のネジがレリーズ調整ネジ。

10mmの六角ナットを緩めます。下の四角の部分に12mmの薄型スパナをあて、周り止めにします。

メーカー組み立ての常識。結構高トルクで締まっていますので、工具が外れない様に注意。

センターナットはTレンチで緩めました。

この状態に成ります。

此処からが調整。四角い部分を周り止めして、中心のプラスネジをゆっくりと締め込みます。

途中で重く(殆ど止まる)成りますので、其処から1/4〜1/2回転戻します。戻し量が少ないと切れは良く成りますが、すべりの誘発も有りますので注意です。

再び六角のロックナットを締め完成。

 

最後に、クランクケース左上の、クラッチワイヤーの繋がっているレバーを動かして見て下さい。遊びが減っている筈です。遊びゼロはネジの戻し量が足りませんので再調整です。

僕の場合、かなり有った遊びが、極微量に。最初から有りましたので、出荷時から遊びが過大だった様です。

最後は元の様に組むだけですが、ガスケットは新品に交換。

ケースに残っているガスケットは綺麗に撤去。その時合わせ面のアルミに傷をつけない事。

さあ、明日からスムーズなシフトが楽しめるかな。

2011.9.13

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