CDIとフルトラ

バイクを弄っていますと、電気系から目をそむける訳には行かなくなります。

バイクは、機械と電気で成り立っているのです。どちらか片方だけでバイクを弄りますと、チョット愛車が可哀相。

ヘッドライトやウィンカーと言った、単に12Vで働く電装品は弄くり易いのですが、イグニッション回路はブラックボックス的でメーカー任せが多いですね。

で、弄る為には基本を知らないといけません。

上記が標準的なイグニッション回路です。

左上がCDI。右下がフルトランジスタシステム。

どちらも左のパルスジェネレーターから信号を貰い、貰ったタイミングでプラグに火花を飛ばす働きをしています。

で、この二つの点火システム。丸っ切り原理が違うのです。

まずフルトラ。右下の配線をポイントに置き換えれば、昔懐かしいバッテリー点火システムと何も変わりません。

フルトラへの移行途中は、パルスジェネレーターの代わりに、ポイントを使っていました。懐かしいセミトランジスタシステムです。

僕も永井電子のウルトラはかなり愛用しました。モトグッチやGS750にも使っていたのです。

セミトラにするとポイントの痛みが激減(略ゼロ)。ポイントのメンテから開放されました。

フルトラ(ポイント式)の動作原理は、まずコイル一次側に電流を流します。電源はバッテリーの12Vを直接加えます。

すると、コイル内の磁性体(鉄心)が直流磁化します。電磁石ですね(フルトラユニット内のSWはONの状態)。

この状態でポイントを遮断します。トランジスタでも同じスィッチングをします。

すると、流れていた電流が急激に止まります。

急激な電流変化をしますと、逆起電力と言う、今までと逆の極性の電流をコイルに発生します。この時の電圧は12Vよりはるかに高い数百Vに達します。

急激な1次側の電圧変化で二次側(一次側よりはるかに巻き数の多いコイル)に一万V以上の電圧が発生し、プラグがスパーク。

細かく言いますと、このスパークする原理もややこしい(プラズマ放電)のですが、今回は割愛。

要は、コイルに流れる電流を遮断した時にスパークするのを忘れないで下さい。

 

さて、CDI。バッテリーからコイルへの配線が有りません。つまりバッテリーからコイルへは電流を流さないのです。

CDIユニットの中には、電流をチャージするコンデンサーが入っています。

このコンデンサーには数百ボルトの電圧を蓄えます。

パルスジェネレーターから点火タイミングの信号が来ました。

すると、蓄えた電流を一気にコイルへ流します。

コイルの二次側に高圧が発生し、プラグがスパーク。

さて、違いが判りましたでしょうか?

つまり、フルトラは電流を切った瞬間にスパーク。

CDIは流した瞬間にスパーク。

コイルの動作が逆なんですね。

で、一番の問題が、この時スパークするエネルギーを蓄えているモノ・・・・。

CDIはユニット内のコンデンサー。フルトラは・・・・・・?

コイルのコア(鉄心)です。磁力として蓄えているのです。

この違いがスパークの違いとなって現れます。

CDIは立ち上がりが早く高圧を発生しますが、スパーク時間が短い。

フルトラは立ち上がりが若干鈍く、電圧も低いですがスパーク時間が長いのです。

どちらが高回転で有利で、どちらが低回転で有利かお判りですよね。

細かくはその他に色々有るのですが、大まかに言いますとこの様な違いが有るのです。

で、僕のSTはCDI。フルトラのモデルもSTには有る。

今迄、CDIとフルトラでエンジンフィーリングがどう違うかは、かなり興味が有ったのですが、同じ条件で比べるのは結構難しかったのです。

でも、STなら出来る。

結果は、成功でも失敗でもアップします。

2010.4.23

 

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