アルテック 755E (パンケーキ)

とても、懐かしいユニットです。僕を平面バッフルに目覚めさせてくれたユニットです。あの頃は地元の大型店でオーディオフロアを任されていました。と言う事は世界の一流品が自由に使える、もの凄く恵まれた環境。上司(社長や部長)は白物出身なので、オーディオのことはチンプンカンプン。其れを良い事にして勝手な事をしていましたけど、よく何も言われなかったなー・・・(汗)。

店の中で僕の店が開店している状態と言えば判りますかね(笑)。

自宅では、4ウェイまで発展してしまったスピーカーが威張っている。ヤハリフルコースの料理ばかりでは飽きてしまいます。美味しいお茶漬けが食べたいな。

で、狙いをつけたのがパンケーキ。当時はまだ現行品(良い時代でしたね)。メーカー指定のエンクロージャーではなかなか鳴らず、苦労話は沢山聞いています。でも、平面バッフルで鳴らした話は聞いた事が無い。エンクロージャーの基本は平面バッフル。世の中エンクロージャーだけに成ったのは悪貨良貨を駆逐す、と思っていたので迷わずチョイス。4×8の米松合板を1/2に切り、1200×1200の板を作り、ど真ん中にユニットを付ける。ど真ん中はいけないと言う意見も有りますが無視(笑)。そんな事を言っている人は平面バッフルを実際にやっているのか不明。実践有るのみ。

出来上がったシステムを聞いてぶっ飛んだ。家で聞いている4ウェイより音楽が楽しい。オーディオ的な分析では4ウェイ(当時の僕にはネットワークを作るノウハウが無く、チャンデバでのマルチアンプ)が勝っているとは思うが、音楽が楽しく聴けなきゃつまらない。

気にはいったのだが問題点。大き過ぎて家には持って帰れない。もう、使われている身分で、店を自分のリスニングルームにしている愚か者・・・・・・。

調子に乗って、店で鳴らしていたら、突然のお客様が欲しいと言い出した。でもバッフルは無理。エンクロージャーで納めて欲しい。バッフルで様子の判ったピンキー君、エンクロージャーの図面をひいてメーカーに特注。米松19mm厚の板で、150g程の箱を作り、後面に30mmの丸穴を20個ほどあけて貰った。

LUXの38も一緒に買ってもらって納品。勿論僕が行く(当時から配送センターには任せなかった)。

行って見ると、良く有るパターン。仲間のオーディオマニアが同席。セッティングが終わり愛聴盤を鳴らし始める。拙い、このレコードは僕も持っている。家の4ウェイより良い・・・・・・・・。

この先が面白い。20cmに対しては大型のエンクロージャー。ネットが張って有るので、中身は見えない。同席のマニアは家ではオンケンの4ウェイを使っていると言う。勿論38cmウーハーで。『家の38cmよりも低音が良く出ている。何センチのウーハーが入っているのか?』と来た。僕はオーナーと目を合わせてニヤッ。『見せましょうか?でも、気の毒ですよね。』と言う事で、僕のいる間は見せなかったけど、僕の引き上げた後は知らない(笑)。

その後も第二リスニングルーム(店の試聴室)で、鳴らしていたら、又もや突然のお客様。家ではゴトーの5ウェイを使っていると言う。僕の鳴らしているパンケーキがいたくお気に入り。結局其の物を持って帰ってしまいました。まあ、イイヤ。家には持って帰れないし。

でも、我慢が出来ずに又もや作る。前のはユニットが後付け。二度目は前付け。音が違う、あまりにも違う。どちらがいいかと聞かれたら、迷わず後付け。理論的には板厚分ダクトに成ってしまうのでいけない筈だが、断然後付けの方が良い。

その後、色々なユニットで試したが、前付けの方が良い結果が出たユニットを知らない。

パンケーキの鳴らし方。NFの掛かったアンプはとにかく嫌います。素顔の良いアンプを好みます。そりゃーインピーダンス変動の大きなフルレンジですから当たり前なんですけど。

その様なアンプと組めばツィーターは要りません。よくコーン紙を見て下さい。メカニカル3ウェイに成っているのですから。

もっとも、僕が使ったのは755E。友人の使っている755Aは僕にはツィーターが欲しいです。

755Aと755Eを目の前に並べられて、どちらかあげる。と言われたら、迷わず755Eを貰います。

2007.4.13

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追記。名誉の為に書きますが、店で鳴らしていたパンケーキ。キッチリ社員販売価格で購入した僕の私物です。勿論バッフルも・・・・。(偉くないか・・・・。)