アッテネーターの仕事

アッテネーターの調整方法は、最終的には、どこをどう弄ると音楽がどう変わるかを、自分の耳に(頭脳に)覚え込ませないと、基本的に無理。と言う結論に達し、先に進めなくなりました。

で、此処では、アッテネーターの働きをもう一度考える事にします。基本的にウーハーの能率は他のユニットよりも低い事が条件で、万が一ウーハーの能率が高い場合はマルチアンプ意外有りません。

此処では、ウーハーの能率が低い事を前提にします。

極普通にネットワークを組みますと、ユニットの能率差のままでの、周波数特性に成ってしまいます。其の能率の高すぎるユニットの能率を、ウーハーにそろえる為にアッテネーターを使います。簡易的には固定抵抗で組んでしまう事も出来ますが、部屋の条件やその他諸々の事を考えますと、可変アッテネーターの必要を感じます。

可変アッテネーターには可変抵抗タイプとトランスアッテネーターの二種類が多く使われています。もっともトランスタイプは高価な為に、ごく一部のシステムや自作意外にはあまり使われては居ません。

では、コストを気にしない(笑)ピンキーラボはどちらを使っているのでしょう?僕は迷わず可変抵抗タイプです。理由は簡単でトランスタイプにはアッテネート量の微調整が出来ないのです。市販されているトランスタイプは2dBタイプが殆どで、良くても1dBステップ。調整の進んだシステムでは、0,5dBでの調整が欲しく成ります。

また、過去に其れ成りに有名なトランスタイプを数種類試してみましたが、音質的にも感心しませんでした。簡単に言いますと音がボケる、スピード感が遅い、情報量が減る、etc・・・。

ユッタリ、ノンビリの音が好きな方には合うかも知れません。

只、可変抵抗タイプにも欠点が有ります。絞る量が大きく成りますと、目盛りが粗くなり、微調整が難しくなる事です。この場合は固定抵抗で固定パッドを作り、ユニットとアッテネーターの間に入れる事で解決出来ます。またこの方法を取る事で、ユニットのインピーダンスがアッテネーターと合わない場合、合わせる事も簡単に出来ます。

アッテネーターはアッテネーターの出力側にアッテネーターと同じインピーダンスのスピーカーを繋いだ時に正しい働きをします。メーカー発表のスピーカーインピーダンスを信用してはいけません。実測し調整してアッテネーターに繋ぐべきです。

アッテネーターは出力側に正しいインピーダンスのユニットを繋がれた場合だけ、アンプ側から見たインピーダンスがアッテネーターのツマミに位置に関係なく、インピーダンスが一定に保たれる様に設計されています。

其の件では、面白い話しが有りました。

有る、有名なオーデジオショップでの出来事です。(其処はアンプやスピーカーも作って販売しています。)オーナーはかなりの話し好きで、自信家。僕も色々と作っているのを知り、ノウハウを提供してくれました。

其の中の話です。『アッテネーターはツマミの位置で抵抗値が変わり、其れがスピーカーに直列に入っている。つまりツマミの位置でユニットのインピーダンスが変わってしまうので、ネットワークの動作が変わってしまう。其れを解決するにはアッテネーターはネットワークとユニットとの間ではなく、アンプとネットワークの間に入れるべきだ。』

この話を読んで、どこが間違いか気付いた方はエライ(笑)。

このオーナー、アッテネーターの働きを全然理解していませんね。アッテネーターはボリュウムとは違うのです。先にも書きました様に、負荷が一定の場合、ツマミの位置がどこに有ってもインピーダンスは一定なのがアッテネーターなのです。

そう言えばウェスタンもどきのアンプを製造販売している所も、トランスアウトで最終出口の音量調整にVRを入れていましたけど、ウェスタンはアッテネーターを使っている筈です。ウェスタンは回路図の記号を省略しますので注意が必要です。トランスアウトにVRを使ってしまったのですから、音量と一緒に音質まで変わっていたでしょうね(笑)。

2006.11.12

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