CPX/typeU

本当に純粋なコンデンサーカートリッジです。

スタイラス側から覗けば構造は一目瞭然。カートリッジからの出力ピンも3本だけ。どの様な構造かと言いますと、カンチレバーが左右共通の電極。其の奥に45°/45°の角度で銅版が貼って有る。只それだけ。

振動系はスタイラスとカンチレバー、其れを支えるダンパーのみ。振動系の軽さでは究極でしょうね。

適正針圧は1gジャスト。振動系が軽いので、この針圧で問題無くトレースします。逆に問題なのがトーンアームのトレース性能。当時のアームで1gを軽々とトレース出来るのは殆ど無い。(僕のアームでは絶対に無理、笑)

で、アームまで作ってしまったのがUA-7(70)です。ワンポイントにベアリングのスタビライザーを併用して高感度を売り物にしていました。(オーットこのネタは別な場所で・・・。)

勿論こんな構造ですから、直接普通のプリに入れても音は出ません。専用の検波器が必要です。で、笑ってしまうのは、DCアンプをかなり早い時期に実用化したメーカーが、検波器の内部には真空管。雑誌で検波器の自作記事を公表していましたが、其れも真空管。裸特性は真空管の方が上、ってメーカーの方は言っていました。

で、其の検波器。トリマーで調整する様に成っているのですが、これがシビア。電源投入時と30分後では丸っ切り違ってしまう。で、結局チョクチョク弄っているものだから、トリマーが壊れてしまってさあ大変。

その再生音は、他のカートリッジではとても無理な立ち上がりの早い音。当時タンノイを使っていましたが、ドラムのソロ等を鳴らすと、スネアの皮の破れそうな音をバッチリ再生。タンノイが壊れるんじゃないかと心配に成る程でした。只、弦の再生はきらびやかに成り過ぎ。もっとも当時(24歳)の僕の腕ですから、ナントも言えません。今だったらもう少し手なずけられたと思います。

今の技術でもう一度作ってもらいたいカートリッジです。

オマケに。その後エレクトレットタイプに変わりましたが、此れは何の変哲も無い音で魅力は全然有りませんでした。

2007.5.10

BACK