ダイナコ MKV

とても有名なアンプです。最近は流石に見なくなってきましたが、トランスさえ生きていれば、優秀なアンプが自作できます。特にアウトプットトランスは優秀です。

ダイナコはキットの専門メーカー。完成品も売っていましたが、あれは輸入元で組んだ物で、半田付けさえ出来れば組み立てはとても簡単なアンプでした。ウルトラリニアの回路の特許を持っていたのもダイナコでした。其の為、当時の管球アンプメーカーは他の回路を選択していました。

僕が愛用していたのは、30年以上前。キットで購入。一晩で2台組んだのを昨日の事のように思い出します。兎に角早く聞きたくてしょうがなかったんですね。

出て来たサウンドは、其れ迄使っていた国産の半導体アンプ(片ch50W、其れ成りのアンプ)とは、一桁も二桁も次元の違う音でした。FMのアナウンサーの声が生々しく聞こえたのを良く覚えています。

モノラル構成ですから楽器の定位、奥行き感も段違い。パワーはモノでなければダメだよと教えてくれたアンプでも有りました。只発熱量は半端ではなく、4畳半の部屋の温度が上がり、夏場は窓を開けたままでないと(当時はクーラーなんてとても高級品)聞けたものでは有りませんでした。

でも、あの熱いサウンドは脳裏にこびりついています。

とりあえず、まだ生きているとして、交換が必要なのはブロックケミコン。場所的に熱を目一杯浴びていますので、とても可哀想な状態です。交換したなら、真空管との間に遮熱板を作ってあげるとコンデンサーが喜びます。ちなみにケミコンの寿命は温度が10℃上がると1/2。10℃下がると倍と言われています。高温は大敵なのです。

真空管ソケットももう寿命が来ている筈。交換は難しく有りません。一般に市販されているソケットで十分です。かえって防振型と称してプロング(金属端子)を固定しているソケットはお勧めしません。プロングがグラグラする事で真空管の足との馴染みを良くしているのです。其れが固定されているのですから、後はご想像にお任せします。

電源SWもとてもプアな物ですから、良質な物に交換しましょう。

もし、自分でアンプを作れる方でしたら、12AU7、一本で増幅。トランスで位相反転。好みのパワー管でPP出力。出力トランスはMKVの物。電源トランスとチョークはチョット贅沢しましょう。勿論NFは掛けません。トランスが優秀ですから、問題有りません。

以前NL50のプッシュを上記の回路で作った事が有ります。とても優秀なアンプが出来、暫く店頭でオイロダインを鳴らしていました。マッキンやマランツと比べても音の素直さで数段勝っていました。マッキン275と交換してくれと言われても断りましたね(笑)。

こんな事を書いていると、また作りたくなってきました。NL50もまだ手持ちが結構有りますし。

2007.4.8

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