EMT997

EMT927に標準装備のアームです。パイプの曲げ方が独特で全体で緩やかなアールを描いています。確かに、一部で曲げますと、パイプには応力が残りますし、共振の点でも不利な条件です。有る評論家などは、『あのカーブはドイツの技術の結晶で日本では出来ない。』なんて絶賛していましたけど、日本の技術者が聞いたら呆れ返ったでしょうね。

とにかく、当時(30年前)はEMTは雑誌で絶賛。そんな声を聞いてしまうと使いたくなるのは人の常。僕も其の例に洩れません。

TSD15とセットで購入。周りで使っている人も居ないので、ナンカ変、使い方が難しい。と悩んでいました。今ならハッキリと『カートリッジが不良です。』と言えるんですけどね。

カートリッジのダンパー不良。外周は良いのですが、内周に近づくにつれ、カートリッジの腹を擦ってしまうのです。じゃ、と針圧を軽くすると歪みますし。勿論並行輸入品ではなく正規物です。

針交換に4ヶ月以上掛かると言われ、もう一本購入。これはなんでもない。クソー、一本目は最初から不良だったんだ。と気付いた時は保障期間切れ。泣く泣く針交換。

その後も、他人のEMTで何度も目撃。EMTの品質管理には疑問大。

さて、本題です。新品購入した997。最初から軸受けベアリングにガタ。輸入元に聞いてもこんなモノです。とあっさり。仕方がないので、下部に有る、ベアリングプリロード調整のネジを廻して自分で調整。ついでにビボットも締め付け調整。機械屋だったので出来るけど、一般人には難しいかも。

針圧調整の仕組みにはあきれ返ったけど、不思議と正確。どこかは良い処がないとね。

アームベースはとにかくちゃちなので、知り合いの旋盤屋さんで、大型でしっかりした物を作ってもらって、とりあえずマアマアかな。

でも、真横から見ると、縦のシャフトが見えるけど、此れがメチャ細い。ヤハリ業務用。音の事なんか気にしていませんね。放送に使えるグレードの音が出ればOKとしか思えません。

ある日、国産アームにパイプ交換でEMTが使えるものが有るのでテスト。このアーム、以前の型は、チョイ問題有りで敬遠していた。モデルチェンジ(本当はまるっきり違うのですけれど、メーカーは声を大にしては言わなかった。)後のモデルを聞いたら中々なので購入。其のアームのEMT用パイプでTSD15を聞いた瞬間、997は雑誌の売買欄に載せました。世間の相場を知らない(当時、もう店を持っていた、汗)ので、かなり格安で投稿。かなりの応募。結構人選には苦労しました。殆どの方のお手紙が997へのラブレター(汗)。

 

その後、馴染みのお客様。よせと言うのに997をお買い上げ。彼も30分の使用で売り払い。

決してEMTに恨みが有る訳では有りません(キッパリ)。只、事実を書いたまでです(笑)。

2007.5.1

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