イコライザーカーブって?

プリアンプを作る時(CD専用なら要らない。CDが当たり前に成ってから、アンプ造りの技術者の腕は落ちましたね。笑)イコライザー段が必用です。なんせレコードに入っている信号は周波数特性がフラットではなくRIAAと言われる周波数カーブで録音(カッティング)されています(そうしないといけない理由が有るのですが、今回はカット。)。早い話が低域は絞って高域を持ち上げたカーブ。これを其の侭再生すると高音の出過ぎる再生音に成ってしまう筈。

其処で、フォノイコライザーアンプなる物が必用に成って来ます。このアンプを通すと周波数特性がフラットになり、信号のレベルも、CDやチューナー等と同じレベルまで増幅されます。

じゃあ、其のカーブを正確に再現しないと、本来の音楽と変わってしまう?

一般のメーカー製品はこのRIAAカーブに対して偏差が少ない事を謳っている物が多く見受けられます。

じゃあ、本当にカーブが狂うと大変な事になるのでしょうか?

もし、昔のアンプ(マランツ7等)を持っていたら実験してみましょう。この頃のアンプはSP盤用のカーブ(RIAAとはかなり違う)が使える様に成っています。其の状態でLP盤を再生してみましょう。早い話LPを聞きながらイコライザーカーブ切り替えSWを弄って見て下さい。

違いが判りますか?真剣に聞いていると若干の違いは有りますが、カーブを見て感じた結果とは丸っきり違うでしょう。僕の店でも何人か(耳に自信を持っている方ばかり)に聞いてもらいましたが、殆どの方は判別不能。

6dBのカーブですからこんな物です。試しにサインウェーブを低い周波数から高い周波数までスィープして見て下さい。大して音量は変わらないでしょう(笑)。

人間の耳なんてこんな物です。でも面白いのはイコライザー素子(コンデンサー等)を換えて(カーブは変わらない)見ると殆どの人が違いを判別します。

このヘンが人間の耳の摩訶不思議な所で、測定器では何も変わらない事を判別するのです。かと言って測定器では全然違うデーターでも判別出来るとは限りません。こんな実験をやっていると、机の上での設計(理論)だけで良いアンプを作るのは無理だとつくづく感じます。

それでもカーブの正確さに拘りますか?

2007.1.15

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