リッツ線

オーディオ機器の配線にチョクチョク使われているリッツ線。どの様な物かと言うと、一般の撚り線は細い銅線を数本〜10数本束ねて、絶縁体で覆っています。曲げ易さを考えたら単線は使い難いですし、線の太さが変わっても内部銅線の本数を変えるだけで出来ますので、コストも押さえやすいです。

で、リッツ線。これは其の細い銅線に一本一本絶縁処理を施した物です。つまり細い銅線が内部では独立して電流を流す構造です。

ナゼ、そんな面倒な事をするのかと言うと、表皮効果。直流は関係無いのですが、交流、特に高い周波数に成ると、電流は導体の内部は流れないで表面だけを流れ様とする性質が有ります(見たことはない、笑)。

一本一本絶縁する事に拠って、線材の表面積を稼ぎ、電流を流れ易くすると言う理論です。

で、ネタの欲しいオーディオ屋さんは飛びついた。オーディオ信号も交流。悪い筈はない。

あのねーーーー。表皮効果が現れるのは遥かに高い周波数の信号。一般には1MHz以上と言われています。ウーーーーン。そんな信号音楽に有るのかな?世の中デジタルで20kHz以上は、遠慮無くカットされた信号だけなのに。もっと高域の延びていると言われている(?)アナログだって1MHzは絶対に無い信号。

でも、配線材の高域特性を伸ばして何が悪いんだ(怒)。と言う方もいるでしょう。そりゃそうです。悪い事は何も有りません。それだけでしたら。

問題は、一本一本絶縁したお陰で機械強度が落ちてしまった。結果共振しやすくなり、余計な付帯音が付いてくる。世の中一つの事を行うと全てが上手く行く事なんてめったに無い。あちら立てればこちらが立たず。要は、バランス感覚です。どちらが重要か。

付帯音の付き易い(付くと決め付けないのが奥ゆかしい、笑)リッツ線は、僕は絶対に使いません。

2007.3.4

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