システムライン

僕の現在使っているシステムです。只、一応店頭と言う条件ですので、チョクチョク実験中と言う名目で変わっています。突然来られましても、この状態になっていない場合も有ります。

先ず、音楽ソースは100%レコードです。デジタルシステムは一切置いて有りません。デジタルの音は確かに奇麗さは感じますが、実在しない音に感じます。人口甘味料の味と言えば、理解してもらえますでしょうか。

音楽ジャンルはポップス、ジャズ、クラシックその他色々ですが、曲よりも演奏家で選ぶ傾向が有ります。

ターンテーブルはオリジナルの糸ドライブシステムです。ターンテーブルはアルミ、其れを4極のシンクロナスモーターで駆動しています。

カートリッジはオルトフォンSPUクラシックGのユニットだけを使っています。シェルは使っていません。

トーンアームもオリジナルです。スタティックバランスです。

ヘッドアンプはECC82、単管で増幅、トランスOUTです。

プリアンプはECC82、3段のイコライザー、1段のフラット段とオール82で済ませています。イコライザーは色々実験しましたが、この82三段に軍配が上がりました。イコライザー素子はLCRですが、段間が二箇所有るので、ロールオフとターンオーバーを別けて使っています。具体的に言いますと、1段目の後にロールオフ、2段目の後にターンオーバーを入れています。受動素子を二段続けますとインピーダンスの受け渡しが難しく成りますが、この方法ならその心配が有りません。ゲインはイコライザーが40dB、フラットが26dBとハイゲインです。ゲインはギリギリの方が理論的に良いはずですが(持ち上げてVRで絞るのでムダのはず。)不思議とローゲインのアンプには、演奏のエネルギーを感じる事が出来ません。この辺はアンプをたくさん作った先輩諸氏とも同じ意見です。理論的には納得できないのですが、皆同じ事を感じているみたいです。

普通ですと此処からパワーアンプに成るのですが、僕はパワーアンプをドライブ段とパワー段に別けてしまいました。各機器の接続ラインは短い方がいいのですが、どこかでは物理的に長くなってしまいます。インピーダンスが600Ω前後で信号電圧が高い処が長く引く場合に有利です。全体を考えますとパワー管の直前が信号電圧は一番高く、インピーダンスもトランスを使うことで自由に成ります。

電源をパワー段とドライブ段を別けたいのも有りました。一般の方はパワー管に何を使うかに神経を使っていますが、僕の経験ではパワー管よりもドライブ管の方が大事です。そこでドライブ段にはチョット贅沢ですが、VT25の二段増幅にしました。勿論段間もトランス接続です。

ついでにトランスについて書いてしまいますと、一般には大きなコアがもてはやされていますが、僕は好みません。磁性体はゼロから動作は出来ません。テープデッキのヘッドにバイアスを掛けるのを思い出してください。大きいコアは確かに大電力に対応しますが、小さな信号は磁気回路が磁化できず、二次側に信号が出ません。微信号の出ないデジタルなら良いでしょうが微信号の入っているアナログを再生するには適しません。其処の信号レベルを良く考えてトランスを選ぶべきです。

あるトランスメーカーが、MCカートリッジの昇圧トランスをモデルチェンジしました。うたい文句はラージコア。つまりコアを大きくしたのです。値段も上がりました。聞いてみると、平和で細かなニュアンスの出ない音でした。僕は旧型を薦めています。

VT25二段で増幅した信号はトランスOUT、600Ωで出しています。先人の600Ωと言うのは、良く選んだインピーダンスと思っています。インピーダンスが高いですと外部ノイズに弱く、線のキャパシターの影響を受け、インピーダンスが低いと線のインダクタンスとDCRの影響を受けてしまいます。このどちらも受けにくい、程良いバランス点が600Ωと考えています。

此処まではプレーヤーなどが乗っている、センターラックに入っています。此処から線を延ばしスピーカーの近くまで這わし、パワー段だけのパワーアンプに入ります。トランス受け(このトランスの選択で、パワー管の選択が自由に出来ます。)で300Bに入りアンプは完了です。只、普通と違うのは、このパワー段が片ch二台に成っている事です。これはスピーカーをマルチアンプで鳴らすためです。

注)平成17年末より、パワーアンプが代わりました。詳しくはこちら

其々のパワーアンプで、スピーカー(オイロダイン)のドライバーとウーハーをドライブしています。チャンネルディバイダーを使っていませんので、ネットワークは其々にハイパス、ローパスフィルターを構成しています。パワーアンプからはフルレンジの信号が出ていますので、スピーカーにパラレルに逆フィルターを介してダミーロードをつけ、インピーダンスの上昇を防いでいます。

こんなに大掛かりにしなければ、レコードを楽しめないかと問われれば、必要有りません。只レコードに入っている音楽を余すところ無く引き出そうと思えば、まだまだ足りません。それ程レコードの中には音楽が入っているのです。

 

追記

上記で、イコライザー素子にLCRを使用と成っていますが、現在はCRでイコライジングをしています。良質なCRが手に入り、LCRよりも良い結果が得られた為です。

2009.1.4

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