ダイヤフラムを外しました。思ったとおり、ギャップには錆が発生しています。日本の高温多湿はタンノイにとって厳しい環境の様です。

以前バラしたユニットで、結露の為にホーンに水の流れた後が見られたのには驚いたものです。今回は其処まででは有りませんが、ギャップの掃除とダイヤフラムの位置調整が必要です。

ダイヤフラムは4本のネジで止められています。と言う事は90°の間隔で回せます。何でそんな事をするのかと言うと、ボイスコイルのボビンは真円では有りませんし、其れの入るギャップもセンターが出ていないのです。で、一番都合の良いところを捜すのです。時間は掛かりますが機械精度が出ていないのですから仕方が有りません。工場の組み立てラインでは絶対に出来ない作業です。

以前、新品のタンノイを買っていただいたお客様に、この作業を施しました。納品してから2〜3ヶ月経った時です。

組み直してからもう一度聞き慣れたレコードをかけたら、あまりの違いにアゼンとしていました。何を替えたのかと聞かれたのですが、一切部品は替えていません。単に調整だけです。と言ったのですが信用して貰えたのでしょうか?(笑)

場合によっては、ダイヤフラムとフェージングプラグが軽い接触をしている事が有ります。その時は写真に見える紙パッキンを新しく作り、ギャップの調整をします。

以前のタンノイは、マグネット後ろのリング状の出っ張りが有りませんでした。其の為ダイヤフラムの移動範囲が広く、位置を捜すのが楽でしたが、今のユニットは凸凹の組み合わせで円周方向には動かせますが前後左右に動かせません。どうしても最適位置が見つからないユニットは、ダイヤフラム側の金属リングの外周を削り、ガタを出して位置を捜します。

どの様な機械にも公差が有ります。(其れが当たり外れの原因。)でも、細かく神経を使って組み立てれば殆どの製品が当り(設計者の意図どおり。)に成れます。何の機械も組み立てが大事です。

今回のユニットは位置出しに梃子摺りませんでしたが、一旦梃子摺ると半日、一日掛かりに成る事もチョクチョクです。

とにかく納得するまで調整をする。其れしか有りません。単に組んだだけでは、工場レベルよりも低いでしょう。

 

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