鋳鉄ディスクとパッドの相性

ベルリンガーの鋳鉄ディスクに交換してからの、初めてのツーリング。パッドとの馴染みも出来て、更なる好フィーリングを期待しての出発だったのですが・・・・・。

鋳鉄ディスクの特徴です。ステンレスよりも温度依存度が高いのです。具体的に言いますと冷えていると効かない。高温に成る程μ(摩擦係数)が上がる。

つまり、レバーを握った瞬間には強烈に効かないで、摩擦熱で温度が上がると効いてくるのですね。

此れは、レバーを握った瞬間のフォークの沈み込みが穏やかで、姿勢変化を起こし難い性格でも有るのです。

僕は、レバーを握った瞬間のフォークの沈みが好きではなく、穏やかに沈めたい。そんな理由での鋳鉄ディスクの採用だったのです。

赤パッドが、結構その様な正確だったので、僕が好きになった理由でも有ったのですね。

最近のディトナのHPで、赤パッドを『姿勢変化の嫌いな方にお勧め。』と書いて有りましたので、僕の感覚も、まんざらではなかった様です。

で、今回の問題は、同じ性格のパッドとディスクの組み合わせ。行き過ぎちゃったんですね。

ディトナは其れ成りに大きなメーカー。市販車が略100%ステンディスクを採用していますから、鋳鉄との相性を気にする筈も無く、赤パッドには、ステンディスクで鋳鉄のフィーリングを求めたのかも知れません。

今回のツーリング。高速からの利き味は天下一品。高速道路からインターへの減速、わくわくする減速を味あわせてくれました。

問題は低速コーナーの続く下りワィンディング。低速ですからブレーキの負担はたかが知れています。ディスクの温度は上がりません。

更に拙いのが、コーナーの間の直線。公道です、常識内の速度です。すると直線でディスクの温度が下がっちゃうんですね。

直線後のコーナー。更にブレーキは効かなく・・・。カーボンディスクみたい(汗)。

帰ってから、パッドを外して見ました。

ほんの400km程のツーリング。パッドの研磨をしてからでも600kmの走行距離。明らかにパッドは減っていて・・・。

前回のパッドの写真と比べて下さい。右のパッドは略傷が取れています。要は傷の深さまで磨耗したんですね。左のパッドの傷も浅くなっていますし。

だいいち、驚いたのはパッドを外した瞬間、磨耗粉がタップリと落ちた事。こりゃ減ってるな。

それに比べて、ディスクの磨耗は見受けられません。

更に大事な問題。

先の写真でも気付かれたでしょうが、パッド外周部がディスクに当たっていません。位置がずれているのかと思われるかも知れませんが、ディスクの内周部もギリギリセーフ状態です。

つまりディスクの幅よりも、パッドの幅の方が広いのです。

此れを見た瞬間にパッドの交換を決めました。

まず最初の問題。ディスクの温度が十分に上がらない。

対処法は二つ。まずμの大きなパッドへ交換する。μが大きければ発熱量も増えます。

もう一つはマスターの径を小さくする事。ラジポンでは無理ですが、横押しなら12,7Φを選べます(手持ちあり、笑)。

幅の問題。同じ規格でもメーカーによって摩擦材の幅が違うんですね。実は花びら時代に、もう一つのパッドを用意済みなんですね。メタリカのパッドです。

もう、交換しちゃったのでパッケージのみ(笑)。

磨耗材の幅が1mm強、狭いのですね。これならいけるかも?

あ、勘違いしないで下さいね。赤パッドはダメだと言っているのでは有りません。ステンディスクなら迷わず赤パッドを使います。2号で大活躍していますし。

あくまでも、ベルリンガーとの相性の問題です。

気付かずに使っていたら、5000km持ったかどうか?

勿論、今回の問題がパッド交換だけで治る保障は有りません。

バイクのチューンってこんなモノなんです。一発で上手く行くのを期待してはダメなんですね。じっくりとバイクに向かい合って1歩前進、二歩後退。2歩前進1,5歩後退。此れを経験しながら少しずつ前進。

此れを面白い、と思える人間の遊びです(負け惜しみ・・・・)。

2011.10.5

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