13日 (二日目)
深夜1:00ごろ、テントを叩く雨音。しかもでかい。目が覚めた。
風は無いので吹き込みは無い。濡れないので一安心。
で、一大事。僕の目の前に一台の大型トレーラーが入って来た。
此処は駐車スペースでは無いけど、雨の中、トイレに走るのはイヤで近場に止めたと思った。
この人達、チョットの停車ではエンジンを止めない。結構煩い。眼が完全に覚めた。トイレから帰った運転手。エンジンを掛けた侭で仮眠。
オイオイ其れは無いだろう。で、文句を言う勇気もないし・・・・・・・。
其れからはエンジンの音に悩まされながら、ウトウトしたり目が覚めたり。
AM5:00やっと彼は出て行きましたけど、此方は睡眠不足。まあ彼は仕事中だし、僕は遊び。仕事の方優先です。
周りは完全に夜明けモード。僕も眼が完全に覚めちゃっているし、出発です。
路面は濡れていないし、雨も降っていない。天気予報では、段々回復の筈。
合羽を着ないで出発しました。
朝食は駒ヶ岳SAの予定。数十キロ。淡々と90km/h強で流します。予定表は80km/hで組みました。つまり時間に余裕が出来ます。
今回のツーリング。毎夜の食事。完全にカロリーオーバーの筈。すると移動中の食事は気をつけないと。
メニュー中、一番カロリーの少ない物を頼みます。山菜蕎麦。うどんよりもカロリーが低いのは初めて知りました。
と言ってもお腹の皮が張ると、目蓋はたるむの原則です。
時間には余裕が有るし、チョット仮眠。
屋根の有るベンチで軽く仮眠(小1時間眠ったみたい)。
屋根に当たる雨の音で目が覚めた。ウソッ。結構本降り。時計を見ると出発予定時間にピッタシカンカン。
マズッ。慌てて合羽を着込み出発。
最初はマアマアの降りだったんだけど、段々本降り、その内・・・・・・・・・・・。
誰か、照る照る坊主を逆さに吊るしていないかい?
先日の新潟の雨なんて此れに比べたら・・(景色を楽しめたのは、見えたからで・・)。
前の車が見えない。路肩の白線も近くしか見えない。あっと言う間に、ブーツの中は金魚の飼える状態。
しかも合羽の上着、ジッパーだけして、ボタンを留めていない(忘れた、汗)。ジッパーの隙間から遠慮なく・・(オネガイ、遠慮して・・)。
中津川辺りで、最悪の状態。でもST頑張っている。エンジンの調子が変わらない。此れでエンジンが不調を訴えてきたら、ツーリングの中止も考えて・・。
じっと我慢の走行。給油予定の恵那山SA。SAに入っていくと、アイドリングが危ない。スロットルを開け加減で駐車スペースに。
スロットルを完全に戻したら、ストンとエンジンストップ。
エアクリの今の取り付け位置。雨にはチョット心配だった。でも新潟で平気だったので・・。
マサカこんな雨に遭うなんて。
駐車スペースには松本ナンバーのハーレーが二台。
屋根の下に行くとライダー二人(僕よりも高齢)、一生懸命に合羽を着ている。合羽を着る前にこの雨に遭ったみたい。
まあ、ライダー同士。すぐに仲良くなって色々と話を。
熊野へ向かうと言う。僕の予定を言ったら『ゴージャスですねー。』
朝の儀式を済ませ、STエンジン始動。チョット心配だった。すぐに始動したけどアイドリング回転数は800rpmがヤット。其れもドコドンドコドンとハーレーみたい。
でも、エンストはしない。まだ頑張るって言ってる。
ガス補給後出発。エンジンはスロットルをチョットでも開ければ正常。
雨も、先程の気違いじみたものと比べると、普通の雨。合羽のボタンもシッカリとしたし。
心配はチェーン。雨中走行はチェーンのオイルを洗い流す。
名神に入る直前辺りで、雨は上がり日差しも出て来た。
こう成ると合羽は蒸し風呂。暑い。
予定外の雨で時間は遅れ気味。
伊吹PAでストップ。予定の時間をかなり過ぎている。酒蔵へ約束の時間に間に合わない。
予定では木之本ICで下りて、下道を楽しむつもりだったんだけど、敦賀IC迄高速で行く事に。
チェーンを見ると案の定カラカラ。で気付いた。チェーン調整用の19mmのメガネを忘れた事に・・。
ウーーーン。最悪途中の町でメガネを購入しよう。
兎に角、オイルをまめに注して、伸びを最小限に抑えよう。
サイドスタンドしかない、STのチェーン給油は大変です。
何処からスタートしたか判る様に、クリップ位置を見えるようにして、其処から給油を開始。見える範囲の給油が終ったら、STを1m前進。給油部分は先に行って、ノン給油部分が・・。
此れを4回繰りかえすと、給油完了。
丁度始めた場所が、PAのゴミを集める建物の前。掃除のおばさんが働いている。
ピ『あ、済みません、邪魔でしたか?』
オ『大丈夫だよ、で、何処まで行くの?』
ピ『九州です。』
オ『じゃ、山陽道で行くんだ。』流石高速で働いているおばさん。道路に詳しい。
ピ『イエ、敦賀で下りて、山陰を回って・・。』
オ『そりゃ、大変だねー。』
その後、このおばさんも旅行が好きであちこちと行っていて、最近常神へ行ったけど大した料理が出なかったと言う。
へへ。常神半島なら任して。『この旅館が良いですよ。』なんて話すとおばちゃんビックリ。
僕の帰りのコースを言ったら『佐多岬は良いよー。』
こんなたわいも無い会話。でも、ソロツーリングで一番の楽しみでも有るのです。
おばちゃんの笑顔と『気をつけてねー。』の言葉におくられて出発です。雨でチョット無くなった元気が戻りました。
合羽も脱いだので気分爽快。
でも、法則は生きていました。『着る止む、脱ぐ降る。』木之本を過ぎた辺りからカナリの土砂降り。でも日本海方面には青空も。
敦賀IC手前で止み、チョット日差しも。今回の天気。カナリ滅茶苦茶です。青空の隣に超ヤバイ黒雲。其の向こうには青空。周りを見渡すとそんな空模様ばかり。
敦賀インターを降りたのは12:20分前。約束は12:00。距離は18km。
頑張って2分遅刻。家族全員で笑顔で迎えてくれました。
お嫁さんとも初お目見え。ウーーン、若社長、犯罪ですよ。若くて可愛い奥さん。笑顔がとても素敵です。
此処へ嫁いだ理由が・・・・・・・・(お酒が大好きなんですって、笑)。
しばし談笑。その後大社長に連れられて、地元の魚介類を食べさせてくれる店へ。
ウーーーン残念。こんな料理。お酒が無くっちゃ。日本海の魚を堪能させて頂きました。
今晩の宿、此れだけの料理が出るのかな?
で、チョット脱線です。
この酒蔵と、お付き合いをさせてもらって20年程です。
常神半島に馴染みの宿が出来、其処の料理を食べに、当時は年に1度は通っていました。
あの時は確か2月。越前蟹の季節です。本当に蟹をたらふく食べ(食べ切れず、2匹返した、笑)。
帰り道。この時九州に飛ばされた(あ、書いちゃった)友人も一緒。お互いに酒好き。地酒を買って帰ろう。
いかにも、古めかしい酒屋さんへ入ったのです。二人とも基本的に純米酒しか飲みません。
棚の上には1本¥1900の純米酒が沢山(当時、僕たちの感覚には1本¥2000以下の酒は危ないの常識が)。¥2300也の純米酒が1本。
目ざとく¥2300を見つけた僕が、おばちゃんに『此れ下さい。』
友『僕も此れを下さい。』
オ『悪いねー、此れは1本しかないんだよ。』
優しい僕は、其の酒を友人に譲り、¥1900を手に・・・。
家に帰り、土産の越前蟹で蟹鍋を・・。
その時、もらい物のお酒が2本家に有った。
1本目の封を切る。口に運ぶ。甘い。こりゃ駄目だ。女房へ料理酒用に・・・。
2本目を開ける。ヤッパリ甘い。1本目と同じ境遇へ。
さあ、残りは今日買って来た酒だけ。此れが甘かったりしたら、折角の蟹鍋は最低・・・・・。
一口、口に含む。良い酒だ。旨いじゃなく良い酒。其の晩の鍋は、蟹味噌を長女((当時小学2年生)に食べられてしまったけど、良い鍋でした。
毎日お気に入りの酒を飲んでいれば、すぐになくなります。
残り少なくなった日、無性に寂しくなったのですね。今までも、旅行では地酒は沢山買ってきました。其々に美味しかったのですが、寂しくなったのは初めて・・。
ラベルの住所を頼りに、104で電話番号を調べてもらい、酒蔵に電話。
ピ『突然済みません・・・・・・・・・・・。』
当時、此処は100%地元への出荷。其れが突然、東京から送ってくださいの依頼があったので、かなり驚いたみたい。
でも、此処も雑誌に取り上げられ、今では全国ブランドに。でも、僕へは一切変わりが有りません。なぜかと思うくらい大切にしてもらっています。
大社長との話に成ると、必ず『県外出荷の第一号がピンキーさんだから・・。』
今は出荷の80%が県外。それでも絶対に量の増産はしていません。品種の増産は若社長の趣味で・・(笑)。
お酒って増産は簡単には出来ないんですね。でも、売れると平気で増産をしてしまう酒蔵がゴロゴロ。
品質が落ちても、名前だけで売れてしまうんですね(例の超有名酒が良い見本)。
そんな誘惑に負けないで、美味しい酒(オット、良い酒)を作ってくれています。
この酒蔵が有る限り、若狭への距離は、僕にとって遠くないんですね。
話題を戻しましょう。
迎えてくれた笑顔。
左から若奥さん、若社長、大社長、其の奥さん。本当に良い家族です。
若奥さんがシャッターを切ってくれました。指名手配犯人が僕です(汗)。
素敵な若社長と奥さんの笑顔。
伺ったのは4年ぶり。当時の若社長は独身。4年ぶりにお会いして、笑顔が素敵になったのと、言葉の端々やチョットした動作に、良い意味での自信を感じます。一生懸命お酒を造っているぞって。
このお二人が頑張っている限り、此処は安泰です。僕もずっと先まで良いお酒を楽しめます。
本当に伺って良かったです。雨のびしょぬれの苦労も、全て吹っ飛びました。
別れを惜しみながらの出発。
今日の宿は http://shinryoumaru.ftw.jp/index.html
漁師さんのやっている民宿です。
本当はもっと海岸沿いを走る予定だったのですが、天気が危ないのと流石に睡眠不足が出て来て、目蓋が・・・・・・・・。
危ないので早めにチェックイン。
15:00に到着。
駐車場はチョイ遠目。其処へSTを止め、歩いて行ったら・・・・・。
入り口で大工仕事をしている男の人。此処の主人らしい。僕の格好を見て『バイクかい。だったら此処迄乗ってきなよ。』
お言葉に甘えて、玄関脇にST君は今日の宿を。
すぐに風呂、風呂上りにビールを1本(流石、大瓶のビール、嬉しい)。
チョット横に成ったら其の侭爆睡。
電話の呼び鈴で目が覚めた。『食事ですよー。』
流石漁師の宿。石鯛のお造りが1枚。その他いっぱい有ったけど石鯛君が目立ち過ぎ(笑)。
美味しかったけど、何を食べたかは忘却の彼方・・(汗)。
料理を運んでくれたおかみさんとしばしの談笑。結構長話をしてしまった。
で、ビールではなくお酒が欲しくなった。
冷酒が有りますかと?と帳場へ。
おかみさん。『冷酒は無いんだよねー、お酒なら良いかい?』
すぐにおかみさん、ストックルームへ。持って来たお酒(未開封)。銘柄は初めてだけどラベルの感じは美味しそう。で、大吟醸と書いて有る。オイオイいくらするんだろう?
アルコールの入ったピンキー君。気持ちがでかい。
ピ『其れを冷で1本お願いします。』
運ばれた大吟醸。口へ・・・・。
ニコッ。腰の据わっている良いお酒。大吟醸独特の変に腰が弱くない。
フーーンこんな酒も有るんだ。でもいくらだろう?
いつもなら酔わない酒量だけど、疲れと睡眠不足でシッカリと効きました。
部屋に戻りお休みなさーい。
本日走行距離 371,1km