TMRのメインエアージェットを生かす。

TMRと付き合いだしてから、2年半経ちました。途中経過はブログを御覧下さい。兎に角手を焼きました。イエ、普通にツーリングや街乗りで、ノーマルキャブよりも劣る所は無いんですが・・・・・・。

要は、セッティングの幅が普通のキャブよりも兎に角大きいのです。巷で言われているTMRのインプレッションは、TMRをある角度から見ただけで、全体を見ているかと言ったら・・・・・・・・・?

其れ程、懐の深いキャブレターです。其の懐の深さがかえって災いをして、今一の評価なんでしょうね。

一般に言われている様な性格でしたら、とても九州へのツーリングなんて・・・・・。

今、僕の手元にあるTMR。とても従順です。トコトコ走りから、鞭を入れれば・・・・。

でも、僕の性格。骨の髄までしゃぶりつくさないと納得しないんですね。

まあ、其れだけこんなに付き合って来たのに、まだ可能性を感じるキャブでも有るのです。

で、TMR。TMRに限らずTMも。ミクニの考えなんでしょうね。メインエアージェット(MAJ)が0番で出荷されています。

此の辺がミクニと京浜の考え方の違いの様で、京浜はかなり大きめで出荷。

どちらが正しいと言うのではなく、其々のメーカーの考え方の違いと理解しています。

でも、ミクニ。MAJが0番なので、其処を普通のジェットにすれば、MAJが生きると勘違いをしていました。

違ったんですね。

この図面はTMRでは無いですが、基本構造は同じですので利用させてもらいます。

MAJから入ったエアーはニードルジェットと本体の間の隙間に入ります。

ニードルジェットの横にはブリード穴が開いており、中心を上に向かって流れているガスにブリード穴からエアーが混じり、メインボアに噴出します。

なぜ、エアーを混ぜるかと言いますと、霧化特性を良くする為です。メインボア(ベンチュリー)へ生ガスを其の侭噴出しますと、霧化特性が今一なんですね。つまり綺麗に空気と混じらない。

其処で、前もって少量のエアーを混ぜる事によって、霧化特性を良くしているのです。

で、TMR(TM)。このブリード穴が開いていないのです。MAJはつけられる様に成っているのに・・。

じゃあ、なぜミクニはそのMAJを殺してしまったのでしょう?

ミクニのレポートを見ますと、スロットル急開の時のガスの遅れを防ぐ為。と成っています。つまりレーシングキャブですから当たり前の事なんですね。

逆にこうも考えられます。ミクニは本当にレーシングシーンを考えてのセッティングで出荷。京浜は公道での使用も考慮して出荷。まあ僕の考え過ぎですが・・。

ご存知、僕のSTには其のレーシングシーンを考えたTMRを装着。STのエンジン、レーシングエンジンとは程遠く・・・・・。

話は戻ってしまいますが、僕がTMRを選んだ理由。

ある雑誌での記事に火が点いちゃったんですね。其の記事は『TMRはドンツキが酷く、スロットル1/4で流すと段々濃くなりかぶり易い。』

あのねー。セッティングが出来ていないだけじゃないの。こんな記事を読んじゃうと、思いっ切り反骨精神が起きてくるんですね。なんとかしてやろうじゃない。僕だけの力で・・・・。

自慢じゃ有りませんが、今までTMRのセッティングの悩み、人に相談した事が有りません。そりゃネットで他人のセッティングを参考にした程度は有ります。で、其の為にかえって遠回り(笑)。

キャブセッティングって、他人のバイクじゃ判んないんですよね。事細かにセッティングデーターを発表されても、その人のバイクの場合であって、自分のバイクには合わないのが普通です。

そりゃ、程々に走る程度で良けりゃ、役には立ちますが・・・・・・。

腕の良いバイク屋さんほど、キャブセッティングの料金には悩むと言います。本当に掛かった時間を丸々請求出来ないんですね。其れ程時間を掛けてするのがキャブセッティングなんです。

話を戻して・・・・・・。

MAJを殺した状態でのセッティングは略完成(90%かな?)。で、MAJを生かしたら・・・・・・・。

少なくとも燃費の点では有利に成ると思う。

で・・・・・・・。

ちょっと改造したメインジェットホルダー。上の図ではニードルジェット。TMRはニードルジェットが独立してこの部品右側に付きます。

ボディにねじ込まれているのですが、ネジの隙間は馬鹿に出来ない。機密性ゼロ。

要は隙間の部分と、フロート室を分離したかったのです。

此れが標準のホルダー。Oリングが無いですね。ブリード穴も無いので、機密にする必要が無いのです。

ネジ右側の細い部分。本来なら此処にブリード穴が開きます。でも開いていない。

だったら、開けましょう。と言う事で極細のドリルの入荷待ち。

もうちょいで完成です。

 

えーーーー。此処だけの話。10数年前のスズキの750。限定車にTMRが標準に装着されました。

このTMR。エアーブリード穴の開いたホルダーをつけていて、MAJが生きていたんですね。

此の辺のセッティングデーターもミクニから教わりました。

此れが面白くて、1,4番シリンダー#70。2,3番シリンダー#150なんですね。内外でこんなに違うのって考えさせられます。

で、このホルダー。部品番号は判っているのですが、ミクニにもスズキにももう無いのです。

残っていたら、こんな苦労は・・・・・・・。

其れとミクニからの注意点。『MAJを生かすとニードル部で薄くなり過ぎ、標準ニードルではセッティングが難しく成ります。』

エーーーー(汗)。でも要は、其処まででかいMAJをつけなきゃ行けるんでは・・・?

兎に角、あと1週間もすれば、MAJが生きます。なぜミクニがやめたのか?その時に判るかも知れません。

追記です。ご自分でもやってみたい方へ・・。

溝は六角ネジの部分から溝縁まで10mm。溝深さ1mm。溝幅2mm(2mm幅の突っ切りバイトでOK)。

Oリングは標準サイズのP-5です。

旋盤屋さんに頼めば、いとも簡単に出来る作業です。

2010.10.16

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