フロントブレーキ

標準品は、通称オムスビと呼ばれているブレンボの対向2ピストンが左右に一個ずつ付いています。僕はこのブレーキには縁が有るみたいで、グッチは前後共そうでした。

年式は定かでは有りませんが、マスターが途中から13φ→14φに変っています。ダブルディスクのままでしたら14φをお勧めします。13φではレバーを強く握るとグリップゴムに当ってしまいますし、パニックブレーキでは効き過ぎて危険と感じます。僕の様にシングルにした場合はオムスビ、4ポット共に13φがマッチします。

此処からはブレーキ周りの整備に成りますので、各自自己責任でして下さい。最も出来る人は此処は読まないでしょうし、此処を読んで、チョットでも意味不明と感じたら、手を出さない方が良いかもしれません。

モノサスに付いているオムスビは、フォークの後ろ側に付けるタイプを、前側に強引につけています。別に使う分には構わないのですが、キャリパーを分解しますと、ブリザーが真上に無い為に、エアーを完全に抜く事が出来ません。フルードを満たし、ブリザーを真上にしてピストンを押し込み、その状態でホース類を装着、それからフォークにマウントの手順が必用です。また、ホースのエア抜きが終わるまで、ピストンは僅かでも出ない様にしなければなりません。そうしないとキャリパーの内部にエアーが混入し、やり直しです。

エア抜きを簡単に考えている人を多々見かけますが、そんなに簡単な物では有りません。プロでも出来ない人が沢山いるのですから。プロがやってこのタッチだったからこれでイイヤ、何て思ったら大間違い。腕の良いプロにやってもらうと更に良く成ります。本当にキッチリ抜きたいんならバイクを置いていって、って言われたら腕がいいかも。特にホースを替えた時は大変です。

テフロンチューブに替えたら、マスターのピストン運動でのエア抜きは難しいです。なぜならゴムホースと違い内径が太い為、送るのを休むとエアーが上がってきてしまう為です。ワンマンブリーダーなら、休み無く引けるのですが。ゴムホースは内径が細い為に、この恐れが殆ど有りません。

オムスビは鳴くと良く聞きますが、僕には経験が有りません。ブレーキの鳴きはパッドの裏面とピストンの当り面でのビビリが殆どです。此処の当りを良くすればマズ鳴きません。

ある雑誌での記事です。『評判の良いパッドを手に入れました。取り付け前にパッドの裏面をオイルストーンで磨こうとしたら、オイルストーンがピッタリと張り付いてしまった。流石に評判のいいパッドと感心。』僕はこの記事を読んでパッドのメーカーでなく、この記事を書いた人に拍手を送りました。知ってますねー。新品のパッドの裏面を研磨もせずに、鳴いて困ります。なんて人はメーカーの設計者泣かせですよね。メーカーだって予算が有れば最初からします。メーカーが予算不足で出来ない所に手を入れるのが、アマチュアの特権なのに。パッドを外して、元の位置も気にせずに組んじゃうなんてもっての他。キャリパーの悪口を言う前にパッド(腕)を磨きましょう。

鳴きを防ぐには、まずピストンとパッドの当りを良くする。当り面にホンの僅かうっすらとパッドグリスを塗る。これで殆どの場合は治ります。(と言うか、これをやって鳴いた経験が無いのでこの後は解りません。m(__)m)

ピストンの周りにつく四角い断面のシール。ダストシールではなくその内側。(なんと言うシールか知らない。恥)このシールには裏表があるので注意。この事は不思議とマニュアルにも載っていないので気にしていない人が多い。この裏表については僕の友人と意見が違う。友人はオイル漏れを嫌って幅の広い方を内側に。僕はピストンが出た時の歪み(これの歪みでピストンが戻る)を考えると幅広をディスク側。まあ、逆に組んで問題が起きたって話は聞いていないので、どちらが正しいのか解りませんが。ホンダのマニュアルの挿絵では僕の組み方に成っています。

ちなみにエアー抜きがキッチリ出来ているバイクなら、4000km走行程でタッチが甘くなってくるのが判るはず。エアーを噛んでいると元々甘いので判り辛い。

フルードの交換もホースの中だけでは全然意味が無い。一番高温に晒されているのは、キャリパーの中のフルード。一度だけ面倒がってホース内だけフルードを替えたら、タッチが全然変わらなかった。考えてみると当たり前。すぐにやり直し。二度手間掛けただけムダでしたね。

キャリパー内のフルードを交換するには、ピストンを最後まで戻さないと無理。で戻す時にピストンの外周に埃がついていると、ゴムシールを痛めます。根元まで奇麗にしないと意味が無いので、ピストンをチョイ出す。奇麗にクリーニング。ピストンを最後まで戻す。(只戻しちゃうと、マスター側からフルードが溢れます。タンク内のフルードをスポイトで減らしておきましょう。)ピストンを戻しても、キャリパー内に若干古いフルードは残ってしまうので、この動作を2〜3回繰り返す。此処までやってくれているバイク屋さんは信用できます。でも工賃は高い筈。(手間が掛かるんだから仕方が無い。)バイク屋さんの工賃。単にフルード交換いくら、って表示ではなく、松竹梅って有ったら楽しいのに。(笑)

エア抜きだけでも奥が深いブレーキ。パッドがどうのマスターがどうの言う前に基本メンテしなくっちゃ。

注)写真は4ポット用の物です。研磨開始にはこの様に削れて来ます。裏面の平面が出ていない証拠です。裏面の塗装がなくなるまで研磨。其の後裏全体に薄らとパッとグリスを塗って組み付けます。

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