更に強力点火を。
STの標準回路。赤でなぞって有る回路がイグニッション回路です。
フルトラ回路の標準的な回路です。
要はコイルのプラス側に12Vを加え、マイナス側をイグナイターでON,OFFをしてコイルの二次側に高圧を発生させます。詳しくはこちらに載っています。
此処で図面を見て下さい。
電源はバッテリーです。このバッテリーからコイル迄の配線。
バッテリー → スターターリレー(Fe付き) → Feボックス → イグニッションSW → リレーBOX → キルSW → イグニッションコイル。
5個もバッテリーとコイルの間に挟まるのです。
この時の各部品の配置を考えて下さい。特にイグニッションSWからキルSWなんて酷いもの。
イグニッションSWはハンドルの根元。リレーボックスはスィングアーム根元近く。キルSWはハンドル右側。配線があっちへ行ったりこっちへ来たり・・・・。
この場合、単に直流抵抗で考えてはいけません。コイルに流れる電流は一定ではなく、高速でのON,OFFの繰り返し。この場合は交流と考えて良いのです。
交流の場合、直流抵抗の他に、回路のインダクタンス成分が効いて来るのです。インダクタンスは周波数が上がる程、抵抗値が増えます。
つまり高回転ほど、回路の抵抗値が上がって来るのですね。
フルトラは高回転に弱い、と言うのにはこの辺の原因も有るのです。
イグニッションONでコイルの電圧を測って、回路のロスを測っても意味が無いのですね。実際のエンジン運転時には更に低い電圧に成っているのです。
さて、このロスを出来るだけ低くするには・・・・・・・。
この様に交流(正しくはパルス)を流す配線は、極力太く、短くが鉄則です。
実は2号は作る時に、この辺の対策済みなんですね。
STも早くしたかったのですが、TMRが落ちつく迄はしたくなかったのです。火花を強くしますと、若干のキャブセッティングのミスでも燃焼が良く成って、シビアなセッティングが出来ないのです。
要はボロの出易い状態でセッティングを詰めて、見通しが立ったらここの改造をしたかったのです。
電気回路と言いますよね。回路です。回ってくる道です。
つまりバッテリーから始まり、バッテリーに戻って、初めて回路が成立します。
コイルまでの配線を強化しても片手落ちです。
コイルからイグナイター、イグナイターからバッテリー迄の配線強化も必要です。
ここまでやって、初めてコイルが本来の性能を発揮します。
では、実際の改造は・・・・・・・・。
単に配線を太くするだけでは、長さが短くなりませんので、直流抵抗は減りますがインダクタンスは減りません。
続く
2011.5.1