キャブバランス

基本的にバルブ周り、点火系、圧縮が正常な場合の調整で、其れが出来ていませんと、いくらやっても合わせる事は不可能です。

まず、エンジンスタート、程々に暖気。アイドリング回転数は1000rpm〜1300rpmに仮合わせ。

左のスロットルストップスクリュー(この後TSと表示)をアイドリングの上がる方向へほんの少し廻します。アイドリングの上昇回転を覚え(タコメーターではなく感覚で)また元の位置に戻します。次は右で同じ事をします。左右で同じ回転上昇だったでしょうか?同じなら合格。違うのが普通です。この場合チョット弄っただけで回転上昇する方のスロットルが閉じ気味なのです。左右のTSを廻して同じ回転上昇する所を捜してください。慣れると簡単に出せる様に成ります。

左右が揃い、尚且つ好みの回転数に合わせたらアイドリング調整は終わりです。

オット、パイロットスクリューが有りますよね。これは有る程度実走。回転はあまり上げない。走行後プラグチェック。左右の焼けが揃っていればOK。かぶり気味なら其の気筒のパイロットを締めます。

この二つの調整を交互に2〜3度やって合わせて下さい。

次にスロットルの開け始めの調整。(アイドリング調整後)

アイドリングが落ち着くまで暖気。落ち着いたら、ほんの少しユックリとスロットルを開けます。一瞬単気筒に成りませんか?もしそうならNG。

まず、左右のスロットルワイヤーの遊びを、手の感触で同じにします。遊び調整のしにくい方のキャブは固定します。

スロットルをユックリ開け、単気筒に成ら無い(両方が同時に回転を上げ様とする)場所をワイヤーの遊びで調整。遊びが多過ぎても、少な過ぎても単気筒に成ります。ボクサーはピンポイントですので微妙な調整が必要です。

ユックリそっとスロットルを開けても一瞬も単気筒に成らなければ、調整完了です。

で、もう一度実走。プラグチェック。焼けが違っていたらパイロットスクリューを調整。この3点を交互に合わせながらバランスポイントを探します。

この調整法は、ビングに限らず、一般のキャブの調整に共通です。只設計が古く、パイロットスクリューが無くエアスクリューのタイプ(CRキャブなど)は若干違ってきます(基本は一緒)。その辺はキャブをCRに替えたら随時アップしていきます。

 

注1)BMの純正スロットルワイヤーは、ハンドル部からキャブまで左右独立で引かれています。完全な直線で引かれているなら問題はないのですが、そうは行きません。

ワイヤーは構造上インナーは伸びない様な、アウターは縮まない様な構造です。逆を言いますとアウターは引っ張られるのには弱い構造。でワイヤーを曲げますとアウターは全長が若干伸びます。その時のインナーは伸びません。結果インナーとアウターの全長の差が縮まります。

と言う事は、キャブレター部のワイヤーの遊びが減る事に繋がります。左右のワイヤーが同じに曲げられれば問題は起きませんが、そうは行きません。結果左右のキャブのスロットルの開け始めのバランスが崩れるのです。(この崩れにボクサーは敏感)

タンクを外すと、必ずワイヤーの位置は変わってしまいます。タンクの付け外し後のワイヤーの遊び調整は必須。

此の狂いをチョットでも少なくするには、ワイヤーをフレームに固定。と言ってもガチガチに固定する訳にも行きません。タイラップで緩めに何箇所か縛っておくのがお勧めです。

 

2007.2.20

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