たかがコイルされどコイル。

散々ネットワークを作って来ました。ネットワーク作りで大切なのは、ユニットの正しいインピーダンスの測定と良いコイル、良いコンデンサー。此れが揃えば80%以上完成です。

コンデンサーは日進月歩で良い物がどんどん作られてきていますが、コイルは・・・・・・・・・・。

コストと大きさが嵩む為に、ドンドン使わない方向へ世の中は進んでいます。市販品のコイルを見ても良質なコンデンサーに見合った物が見当たりません。

作るか・・・・・・・・・。

簡単に巻けるかと思ったら大間違い。何個も失敗の繰り返し。10個以上無駄巻をしました。

初めてコイルを巻いたのはもう15年以上前に成ります。手に豆を作って大奮闘。散々巻いてヤット気楽に注文を受けられる様に成りました。

今迄に、何個巻いたんだろう?数百個に成っていると思います(下手すると1000個を越えているかも)。

丁度1mHのコイルの注文が入りました。

作る過程をアップ。こんなに手が掛かっているんだ。と判っていただければ幸いです。

コイルを巻く準備。旋盤を使います。旋盤加工は切削油を使うので、旋盤はオイルまみれ。コイルを巻く時は油分厳禁。

最初の仕事。旋盤のオイルのふき取り。

掃除が終ったら、道具一揃いを旋盤の上に。

ベットの乗っている白い板。テフロンです。この上でエポキシを混ぜ合わせるので、テフロンが最適。

そのテフロンの上に乗っているのが、巻枠。ジュラコンです。ジュラコンもエポキシに付きませんのでこの用途には最適。

でも、数多く作りますと、ジュラコンの表面が荒れて来て、エポキシが付く様に成ってしまいます。つまり巻枠も消耗品です。

今迄、何個作ったかなー?

この様に組み立てます。

右の板には巻き始めのコイルを外に引き出す穴が開いていて、其処が巻き始め。

で、その引き出し穴。テーパー加工。

穴の中にエポキシが入り込んでも抜ける為の加工です。

旋盤のチャックに咥えて準備完了。

勿論、チャックの回転は人間動力。左手でチャックを廻し、右手でエナメル線を送るのです。

最初の写真の下に、材料のエナメル線。一巻約30kg。長さではなく重量で管理されています。

で、その重量。一巻ごとに若干違うんですね。で、その重量の値段なので、一巻ごとに価格が違うんですね(笑)。

右側から、一巻巻き終わりました。でも隙間が・・・・・・。

良いコイルの条件。巻線の間の空間。少ない程良い。ですからガラ巻なんて絶対にNGなんですね。

巻のテンションが弱く、隙間が・・・・。なんてコイルも良く見かけます。良いコイルは見た目よりも重量が有る物です。

で・・・・・・・。

特殊工具(笑)。本来車のブレーキの整備に使う物です。

先端がこの様な形状に・・・。

マイナスドライバーの先を丸めた形状。更に材質が柔らかいので、コイルの線材を痛め難いのです。

此れをコイルに差し込んで、隙間を詰めていきます。

途中まで、詰めた所。線1本分は詰めています。

キッチリと詰めました。右端の巻き始めは仕方が有りません。

でも此の侭、上を巻きますと、2回目の最後の部分が最初の隙間に落ち込んでしまうのです。そう成ると巻き続けるほどに、巻が汚くなり、最後はガラ巻に・・・・・・。

その対策です。巻き始めの隙間をエポキシで埋めてしまいます。こうすれば落ち込みません。

この状態で、略1時間の硬化待ち。

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